みなさんは、消費者責任という言葉を聞いたことがありますか?サスタビでは様々な情報を発信する際、消費者=旅人の方にたくさんのことを知ってほしいと考えています。今回は、そんな私たちの考え方を解説します。
旅における消費者責任
サスタビでは、事業者の方や地域の方だけではなく、旅人の皆さんに対して情報提供を行っています。スポットでは「こんな素敵な宿がありますよ」など、レポートでは「旅についてこんな考え方を知っていましたか?」などをご紹介しています。どれも、決して「ここ行け!」「こう考えろ!」と押し付けるものではなく、「いかがですか?」と提案しているものです。
なぜ、旅人に対して問いかけや提案を続けているのか。それは、旅にはプラスの効用とマイナスの効用があり、サスタビとしてはそのバランスを常に意識しているためです。旅は人を育て社会を創る一方、オーバーツーリズムなどの負荷も生みだします。マイナス面にも目を向けてこそ、旅そのものが持続可能になると考えています。
では、マイナス面についてどのように考えればよいのか。その答えのキーワードとなるのが、消費者責任です。消費者責任とは、国際消費者機構が提唱した考えで、以下の5つがあります。
出典:消費者庁「消費者が権利を実現し、 責任を果たすとはどんなこと?」
消費者責任というとアパレルやフードなどのイメージがあるかもしれませんが、実は旅にも伴います。「旅の恥はかき捨て」なんていう言葉もありますが、実際には旅人にも地域の環境や経済への配慮が求められます。私たちは、この中でも特に「商品や価格などの情報に疑問や関心をもつ責任」「自分の消費行動が社会(特に弱者)に与える影響を自覚する責任」「自分の消費行動が環境に与える影響を自覚する責任」を意識しています。だからこそ、「旅先で地域で活動する生産者に還元できるよう、地元野菜を使ったレストランに行ってみよう」「旅先でも気を緩めず、ごみをポイ捨てしたり勝手に草花を刈って持ち帰ったりするのはやめよう」など発信しています。
また、具体的にどんな行動をすべきかを「サスタビ20ヶ条」としてまとめました。ここには、旅人として社会的責任をどう果たせばよいかを解説しています。
消費者責任を持つ旅人が増えることで、業界全体が変わる
消費者である旅人の意識が変わることで旅行業界全体が変わり、現在起きているオーバーツーリズムをはじめとした、旅にまつわる諸問題が解決に向かうのではないでしょうか。その一歩目は、企業が変わることでもなく、地域が変わることでもなく、消費者が変わることです。
旅人が変わり、「環境に配慮した宿にしか泊まりたくない」という人が大半を占めるようになれば、どの事業者も売上を確保するために環境への取り組みを始めます。消費者が変われば、事業者も変わらざるを得ないのです。
他業界ではサステナビリティへの意識が高まっていますが、旅行業界はやや遅れ気味なのが現状です。だからこそ、旅とサステナビリティを考え続けているサスタビで、旅人の方に何か働きかけをしなくてはならないと思っています。
消費行動を変えて社会的責任を果たすための方法として、「ルールでがんじがらめにする」というやり方があります。例えば、旅先でごみをポイ捨てしたら罰金を徴収されるということになったら、みなさんゴミ箱に捨てるようになりますよね。
しかしこういった方法は、必ず破ろうとする人が現れます。それを防ぐためにさらなるルールができ、どんどん増えて複雑になるものです。ルールには管理する人や機関が必要になるため、コストもかかります。だからこそ、ルールで縛るのではなく、倫理観に働きかけて自ら意識を変える必要があります。
いつまでも旅を楽しめる未来へ
私たちは、旅人が社会的責任を果たすことで、持続可能な社会を作ることができると考えています。持続可能な社会を作れば、次世代の人たちにより良い社会をつなぐことが可能です。
私たちが今、安心・安全に旅を楽しめるのも、前の世代の人たちがより良い社会を創り、受け渡してくれたからですよね。もし過去の世代で自然環境を破壊しつくし、経済が崩壊して余暇を楽しむ余裕がない状態の社会となっていたら、旅に出ることはできません。だからこそ、次の世代の人たちにも、旅を楽しめる社会のバトンを渡さなくてはなりません。
サスタビではこれから、数十年、数百年経っても、多くの方が旅を楽しめるよう、旅人のみなさんへの情報発信を続けていきます。ぜひこれからも、サスタビで情報をキャッチしてくださいね。
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