Z世代の社会起業家が提唱する「ツーリストシップ」。旅行者の行動変容を促しオーバーツーリズムや分断解決へ

訪日観光客4000万人時代を迎えた今、日本各地の観光地はにぎわいを見せる一方でオーバーツーリズムや分断も叫ばれています。2030年には6000万人を目指す––そのように国が発表する中、旅先に配慮したり貢献しながら、交流を楽しむ姿勢や行動「ツーリストシップ」を発信する一般社団法人ツーリストシップが2025年8月6日、東京・日暮里で4回目となるツーリストシップサミットを開催しました。

誰もが楽しく、持続可能な旅を続けていくためには?今回は当日の参加レポートをお届けします。

ツーリストシップとは

ツーリストシップとは、スポーツマンシップに着想を得た旅行者版と言える考え方のことです。概要やこれまでの歩みについてはツーリストシップについて提唱者である、一般社団法人ツーリストシップ代表の田中千恵子さんにその概要や活動内容について過去に実施したインタビュー記事をご覧ください。

ツーリストシップは旅行者側から観光課題に取り組む社会運動である

サミットの開催に先立ち、元観光庁長官であり、一般社団法人ツーリストシップの理事の井手憲文さんが開会の挨拶を行いました。その中で「ツーリストシップは旅行者側から観光課題に取り組む社会運動である」と井出理事は発言。訪日観光客が1000万人を超えた12年前時点でもオーバーツーリズムが生じていたことを振り返り、さらに深刻な状況にある現在は観光地や行政だけでなく旅行者側の対応も必要であると強調しました。

続いての来賓挨拶には、観光庁観光地域振興部長 長崎敏志氏が登壇。オーバーツーリズムは負の側面が報道で取り上げられることが多いことや、その対策の重要性に触れつつ「インバウンド需要拡大に伴う人と人との交流というプラスの面にもっと光を当てる必要があると思う。そのためにも観光庁としてはもちろんのこと私個人としてもツーリストシップを引き続き応援していきたい。」と語りました。

持続可能性とともに旅の可能性を解放する

第一部では、田中千恵子さんによる講演が行われ、ツーリストシップのこれまでの歩みや未来を見据えた展望が語られました。その中で、「人は1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価する」と言う言葉を引用し、社会変革には根気強さが必要で、活動を始めた学生時代はすぐに結果が出ないことに対する焦りもあったことを明かしました。

ツーリストシップと言う言葉を当たり前に使う社会を目指すと話す田中さん。「なぜ言葉にこだわるのか?それは言葉は認識をつくるものだと考えているからです。スポーツマンシップと同じように良い行いをした人を称賛する文化を広めて行きたいのです」。

世界初の旅行者行動基準「ツーリストシップ行動集」の発表

今回のツーリストシップサミットでは、世界初となる旅行者行動基準の発表が行われ来場者には特典として行動集の冊子が配布された他同団体の公式サイト上でも内容が公開されました。具体的には持続可能な観光の国際基準の認証をするグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)の視点を取り入れ、旅行の基本、社会経済、文化、環境、住民視点の5分野68項目を提示したものです。旅行者の行動を可視化し、旅行リテラシーを高め、育成するという三つの社会的意義があると説明しました。

ツーリストシップを広めよう!ツーリストシップ検定

続いて、同団体の春田さんから行動集を公式テキストとした思いやりのある旅のふるまいを学ぶ「ツーリストシップ認定制度」の発表がありました。「ツーリストシップ検定」と「ツーリストシップアンバサダー検定」の2種類があり、オンデマンド講義とリアルタイムワークショップを組み合わせた体験型学習であることが紹介されました。

「観光に携わる専門職の方はもちろん、旅先ですね旅を通じて出会う人や地域との関係性を大切にしたいと考えている人やより多くの人にも伝えていきたいと思いをお持ちの方にも受講頂きたい内容となっています」。(春田さん)
検定を通じ、ツーリストシップを広げるコミュニティの輪が広がり観光の明るい未来につながることを期待したいですね!

今こそ考えたい「行けば行くほど豊かに、また来てね、ありがとう」と言われる旅にするために

ツーリストシップサミット内では、延べ2.3万人が参加した「旅先クイズ会」※の体験会もあり会場は和やかな空気に包まれました。 ※観光地に仮設ブースを出し、国内外の旅行者に〇×クイズを通し地域ごとの歴史やマナー、ツーリストシップを楽しく発信するイベント

イベントの最後では、同法人の理事でサスタビ代表の行方が登壇しました。

「私はサスタビというサイトを運営しながら、サステナブルな旅を模索しています。旅は地域社会や自然にプラス・マイナス両面の影響を与え、人を育て社会を創る効用がありますが、オーバーツーリズムなどの問題もあります。旅の良い影響を最大化し悪影響を減らして、旅先の暮らしを良くする旅を広げたいと考えています。現在の国際的な分断の中で、国境を越えた人の交流や相互理解が信頼関係や社会の融和につながると信じています。そのためには、旅人自身が楽しむだけでなく責任を持って旅する必要があり、その指針として「ツーリストシップ行動集」が重要です」
とコメントを寄せ、今後さらにアップデートされることに期待を寄せました。

ツーリストシップ行動集は、海外でも展開の準備が進められているなど国内外へ広がりを見せようとしています。サスタビでは今後もツーリストシップの動向に注目していきたいと思います!

ツーリストシップの公式サイトはこちらから。

サスタビの20カ条も合わせてチェックしてみてくださいね。

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