「飛び恥」ってなに?飛行機に乗るのは恥ずかしいことなのか?
皆さんは「飛び恥」という言葉を聞いたことがありますか?英語では「Flight Shame(フライトシェイム)」と表記し、飛行機に乗って空を飛ぶのは恥ずべきことだ、というメッセージが込められています。
2018年頃からスウェーデンで言われ始め、ヨーロッパを中心に広く支持されて、飛行機ではなく鉄道を積極的に利用する動きが広がっています。
というのも、電車に比べて、飛行機を利用することで排出されるCO2の量ははるかに多く、コロナ前の2019年には全世界で約10億トンの二酸化炭素が飛行機によって排出されました。※1
引用:statista
サスタビが提唱する「サスタビ20カ条」の中でも、「01. 公共の移動手段を活用しよう」と掲げていますが、マイカーやタクシーよりも公共交通機関、中でも電車を使うことがもっとも環境にやさしい移動手段なのです。
引用:国土交通省
でも、飛行機に乗りたい!我慢しないといけないの…?
そうは言っても遠くへ行くときや、限られた時間の出張や休暇では、飛行機を使いたい場面も沢山あります。なにより、飛行機から見る地形の面白さや、海の模様、空の色の変化も旅の楽しみの一つ。では、どうしたらよいのでしょうか…?
まずは本当に飛行機での移動が必要かをもう1度、考えてみてください。例えば、行きは飛行機で帰りは新幹線にしてみることもできるかもしれません。
行きと帰りで違う風景が見られたり、違うものが食べられたり。長距離移動の間に旅先の予習をしたり、旅を通して感じたことを振り返ったり、自分と向き合う時間にもできます。
飛行機を選ばないという事を「義務」や「我慢」と捉えると苦しさを感じますが、むしろそこに新たな楽しみがあるかもしれません!
よりサステナブルな飛行機の選択をしよう
サステナブルな航路を選ぼう
その上で飛行機を使う時には、航路や機体を選ぶ際に、よりサステナブルなものを選択することができます。
皆さんが普段、フライトを予約するときには「安さ」や「早さ」だけで、選んではいないでしょうか?最近は、Skyscanner(スカイスキャナー)やGoogleフライト、Lite Flightsといった検索サイトにおいて、より「CO2排出量が少ない」航路を検索できる機能がついています!
飛行機は空を飛んでいる間よりも、離着陸時に大量の二酸化炭素を排出します。そのため乗継便よりも直行便を選ぶ、また国内便など短距離の移動ではなるべく電車を使うことが大切です。
サステナブルな燃料を使おう
近年、航空業界で注目を集めているのがSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)です。穀類の非可食部や、藻類、廃棄される食用油から作られるバイオジェット燃料で、従来の燃料に比べCO2排出量を約80%削減することができると期待されています。
画像引用:どうする「飛び恥」!?環境先進国ドイツで聞いてみた|NHK
日本国内では、株式会社ユーグレナが使用済みの食用油と微細藻類・ユーグレナから抽出した油脂を使ったSAF「サステオ」を開発し、国内でも少しずつ利用され始めています!
しかし、まだ世界で必要な燃料の僅か1%ほどしかSAFの供給はできておらず、またSAFでも燃焼させれば二酸化炭素が生じるため、サステナブルな燃料を使えばいくらでも飛行機に乗っていいということにはなりません。
使った分の二酸化炭素をオフセット使用
様々な点を考慮して飛行機を利用した場合でも、それによって発生してしまったCO2に関しては「カーボンオフセット」をしましょう!
カーボンオフセットとは、日常生活や経済活動の中でどうしても排出されるCO2などの温室効果ガスに対して、他の場所で行われている温室効果ガス削減の取組みにお金を払うことで、自分が出してしまった分を埋め合わせる、というという考え方です。
日本でも、JALやANAの各社でフライトオフセットの仕組みを整え、簡単にカーボンオフセットができるようになっています。
「飛行機代を払っているのに、それ以上の出費は…」というのが正直な気持ちだと思います。私もそうです。でも、私たちは航空券を買って、旅行や移動を楽しめる立場にいます。だったら、その楽しんだ分は責任を持ってお返ししたり、これからも旅が続けられるよう未来に投資する気持ちで、カーボンオフセットにもお金を使ってみることは、大切な選択です。
大切なのは、知り、考え、行動すること
飛行機を使うべきかどうかに正解はなく、それぞれの状況や立場によって、選べる手段も変わってきます。またサステナブルな移動を叶える100%の選択肢はなかなかありません。
でも、自分のする移動によって、何が得られ、何が失われているのかを知ることは全ての人に求められます。
例えば2023年3月のWBCでは、侍JAPANの活躍に世界が沸きましたが、実はその裏で大谷選手やダルビッシュ選手が帰国の際にプライベートジェット(個人チャーターの飛行機)を使ったことが、環境への悪影響が大きいとして海外メディアでは批判されていました。しかし日本国内では、あまりそうした報道はありませんでしたね。
みんな「気持ちよく楽しく旅を満喫したい」という想いは一緒だと思います。だからこそ、それぞれが自分に合った方法を考え、行動していく事が大切です。
たとえば、飛行機に乗るときはなるべき荷物を少なくする、機内食が必要なければ事前に断って無駄にしない、マイボトルやマイカトラリーを持参してプラごみを出さないようにする、などなど。今日から気を付けられることもたくさんあります!
いつでも世界中を旅することができる時代に生まれたからこそ、旅を楽しむ一人として、考え、行動していきたいですね!
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