観光と地域が融合するケアンズで楽しめるサステナブルな旅【ケアンズ観光局取材・後編】

ケアンズが目指すこれからの観光

ー 前編で、ケアンズではオーバーツーリズムの問題は生じていない、というお話がありましたがそれはなぜでしょうか?

グレートバリアリーフのゾーニングの例のように、観光客をしっかりマネジメントしているためです。また、ちょっとしたところで環境について意識してもらう街の工夫もあると思います。

ゴミ箱を例にすると、ケアンズは街の至る所にゴミ箱が設置してあって、すぐに捨てられるようになっています。だから街中でポイ捨てされたごみを見ることはほとんどありません。

また、排水溝の横にサインがあって「この排水は、あの川に流れて繋がっているよ」と書いてあります。

ー なるほど。ケアンズってごみが全然ないというイメージがあります。

ケアンズには「ウミガメリハビリセンター」という施設が2か所あるのですが、そこには、海に落ちていたビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまい病気になったウミガメなどが運ばれてきます。

街のごみを減らすことが、豊かな自然や生き物たちを守ることに繋がっているという意識は強いかもしれません。

観光と地域がうまく調和するには

ー ケアンズの主要産業は観光なのですか?

はい、人口16万5000人の小さな街に国際空港があるぐらいですからね。国内外合わせて年間約300万人の観光客が訪れます。 

ー すごいですね。 環境保全の面は上手く両立してるとのことですが、住人の生活にはネガティブな影響を与えることはないんですか?

運のよいことに、こちらは土地が広いです。それぞれの見所や観光名所もそれなりに離れているので、そこまで気になりません。

あとは、オーストラリア国内でもケアンズは少し田舎というか、都市からかなり離れた地域です。なので気軽に2泊3日とかでは来られないしそれなりにお金もかかるので、中所得者以上の方が来て長く居てくださるというのもあります。

ー 特に海外の人は、日本人よりも長く休みを取って旅行をしますもんね。

そうですね。特に西洋人の方は我々の感覚よりももう少し奥というか、もちろん人気の観光地も行きますが、より深いところを目指してうまく分散して観光していただいてるなと感じます。

やっぱり日本人は休みが短か過ぎて、つい観光名所ばかり回って終わってしまいますよね。

それでも、日本でもサステナブルツーリズムに対する意識が少しずつ高まり、最近はもう少し自然や地域に配慮しながらゆったりと旅する、みたいなのも増えてきてると思います。

そのため、前回お話したオーストラリア国内のエコツーリズム認証制度などを、SDGsに絡めた形で日本語向けにアレンジし、日本の旅行会社の方に紹介もします。

ケアンズのサステナブルな楽しみ方

ー 個人で旅行する場合にも、そういったサステナブルなコンテンツを体験することはできますか?

もちろんです!ウミガメのリハビリセンターがフィッツロイ島という場所にありますが、そこに行ってセンターの見学したり、すこしドネーション(寄付)していただいたりして、そのあとはシュノーケリングや海を楽しむというのはとてもいいと思います。

ー 離島を楽しみながら、海の生き物や海ごみ問題について学べるのはいいですね!

あとは熱帯雨林の植林プログラムがあります。色んな団体がやっているのですが、特に「リフォレスト(Reforest)」というNPOが行っているのがユニークです。

オーストラリアには約56種類のカンガルーがいますが、その中で2種類だけキノボリカンガルー(Tree kangaroo)という樹上で生活するカンガルーがいます。数が減って絶滅危惧種になっている彼らを守るために、その生息域で植林をするプログラムです。

ー いいですね!そういったプログラムはどうしたら見つけられますか?

まさにそこで私たちの「サステナブルトラベルハブ」を活用していただけたらと思います(詳細はこちら)。

サステナビリティに配慮した企業のツアーや、地産地消のものしか使っていないカフェ・レストランなどを選べるようになっています。

あとは英語版のみになってしまいますが、ECO Certificateのホテルが一覧で見られたり、「うちは車で4時間以内で調達できるプロダクトしか使いません」という細かいこだわりが見られたりします。

ー 今はAI翻訳ツールもありますし、ぜひ見てほしいですね!

  私たちも「サスタビ20カ条」と題して、サステナブルな旅人の心得を出してるんですが、ほんとにちょっとした、どんなお店で食事を取るかってことで変わりますよね。

本当にそう思います。空輸で運んでくるものを食べてるかどうかで、CO2の排出量が大きく変わりますよね。

ー それにせっかくなら、地元の個性ある小さなお店とか、そこでしか食べられない物の方が僕は好きですね。

 

人に触れ、学び溢れる旅

ー 最近はスタディツアーや学習旅行のニーズも増えていますが、いかがですか?

こちらではファームステイが人気ですね。農場や牧場に滞在して、地元の人と一緒に果物の収穫とか、卵採りとか簡単な農作業をします。

日本の高校生とかが来てくれると、たった2、3日とかなのにお別れの時には皆さんワンワン泣いて……。それぐらい濃い時間を過ごせるんだなと見ていて感じました。

ー やっぱり人との触れ合いは大事ですね。現地の方と、言葉が通じなかったとしても心が通じれば、すごくいい体験になると思います。英語ができればなお良いと思いますし。 やはり、最後は人との交流とか触れ合いとか、何かそういうたわいもないことがあるとすごく記憶に残るし、それがサステナブルな旅のような気が最近してきたんですよね。

わかります。ケアンズにはグレートバリアリーフがあって世界遺産ですけど、オーストラリアのほかの地域でもみんな「うちの浜が一番きれいだ!」って言っていて、たしかにどこも綺麗で。

僕は「何が一番売りですか?」って聞かれるといつも「ケアンズの人です」と言っています。

オーストラリアはご存知の通りフレンドリーな国で、都市も田舎もおおらかです。中でもケアンズは、街を歩いてても知らない人が「Hi」と笑ってくれるような人たちがいて、これが一番の売りだなと。

綺麗な海は世界中にありますが、この人たちはケアンズに来なければ会えません。

ケアンズの人と観光の関係

ー ケアンズではどれくらいの人が観光業に携わっていますか?

人口約16万5000人のうち、観光業に関わる人は非常に多く、レストランなどのいわゆるサブツーリズム業界も入れると、6人に1人と言われています。

ー それ以外の産業は何があるんですか?

大きいのは農業や畜産などの第一次産業、あとは砂とかが取れます。ただファームステイのような体験や、ホテル・飲食店での提供を考えるとやはり一次産業も観光と深く関わっています。

なのでツーリズムがなくなってしまうと、町全体が本当に困ります。だからこそ、持続可能性ということを追求しながらも、多くの方に来ていただくことが大事です。

ー 観光客が来ることで、自然環境や生き物が守られ、それを目当てにまた観光客が訪れ、地域の人の暮らしを支える。大事な循環ですね。ぜひ僕も行ってみたいです! 

ぜひお待ちしています。日本からの直行便もありますし、7.5時間くらいなんですよ! 

ー 比較的近いんですね。

はい、日本から一番近いオーストラリアです。ぜひみなさまお越しください!

ー ぜひ!本日はありがとうございました。

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