サスタビを知る「サステナブルな旅って、なに?」―そんな素朴な疑問について、さまざまな視点から考えます。

郊外の畑付きサマーハウスで自給自足を楽しむジョージアの夏

郊外の畑付きサマーハウスで自給自足を楽しむジョージアの夏

ジョージアは日本と同じように四季のある国ですがどちらかといえば夏と冬の長い国です。春夏秋冬の季節感は国によって、またその地域によってさまざまでしょうがジョージアの一年間を日本の関東、関西の平均的な感覚で区分してみると春:4月~5月、夏:6月~9月、秋:10月~11月、冬:12月~3月と、夏は4ヶ月ほども続きます。

湿気の少ないジョージアでは夏も比較的カラッとしていますが都市部では日本と同じようにヒートアイランド現象が発生し、夏の暑さは年々厳しいものとなってきています。

今回は4ヶ月ほども続くジョージアの夏の過ごし方について紹介したいと思います。

夏の休暇が長いジョージア

真夏には最高気温が40℃を超える日も少なくない首都トビリシ。年々朝晩の交通渋滞が激しくなっているのですが、不思議なことに7月に入ると渋滞が解消されてしまいます。その理由は多くの人が夏の休暇をとってトビリシを離れるためです。

ジョージアではヨーロッパの国々と同じく夏の休暇が長く、フルタイムの仕事についている人でも夏は1ヶ月くらいの休暇をとるのが一般的と言われています。多くの人が休暇をとる7月8月はトビリシで通勤に車を使う人が急激に減るため、交通渋滞が解消されてしまうという現象が起きるそうです。

休暇をとるのは大人だけではありません。学校に通う子どもや大学生たちの夏休みは社会人よりも長く、2ヶ月半ほどもあります。共働きの両親が休みでなくても祖父母が孫を連れて暑苦しいトビリシを離れるといった習慣がジョージアがソ連の一部だった時代からトビリシでは続いているようです。

夏は田舎で土をいじる生活

暑い夏、都会のジョージア人が涼を求めて行く先は伝統的に山あいの別荘や田舎の実家であり、都市部のジョージア人は夏の避暑地での時間を楽しみにしています。それらの別荘は郊外の畑付きのサマーハウスのことでロシア語でダーチャと呼ばれており、軽井沢など日本の別荘地として想像されるようなものとは異なります。

ソ連時代、田舎を持たない都市労働者たちに支給される保養のための住宅がダーチャで、ソ連崩壊後は使用していた各々の家族の財産として引き継がれてきました。元々の目的である都市労働から離れた休息のほかに、当時不足気味であった食糧の自給自足を促す側面もあったと言われています。

そのような経緯もあって休暇でダーチャに帰ったジョージア人たちは庭の畑で野菜やハーブ類を育て、イチジクや桃などの果樹や胡桃などの木の手入れにいそしみます。現代では食料不足や自給自足の必要性はありませんが、それでも夏は田舎で畑を耕す生活が受け継がれているのです。

都市生活を休んで不便を楽しむ

ソ連の時代からそのまま残されているダーチャは簡素なつくりでトイレは離れにあって非水洗式、浴室はない、なんてことも珍しくありません。都会では電気、ガス、水道、インターネットの整った家に住む彼らがそれでも不便なダーチャでの暮らしを楽しみにするのはジョージア人がもともと大地を耕す人*だからだという人もいます。

*ジョージアという国名はギリシャ語のゲオルギオスが語源といわれ、ゲオルギオスにはEarth-worker(農夫)という意味があります。ちなみにジョージア人の男性名で一番多いのもこれにちなんだギオルギです。

すでに定年退職してる世代のジョージア人は春先からダーチャに帰って作物の植え付けを始め、半自給自足の生活を楽しみます。自分たちが食べるだけの家庭菜園に農薬を使う人はいません。野菜ごとに区分けすることもないのでトマトとキュウリが、コリアンダーやディルのハーブと雑草が混ざり合いながら育つダーチャの庭にはサステナブルな生活が息づいています。

夏に入って帰ってきた息子夫婦は山のきれいな空気を吸い、湧水を飲んでは都会の垢を落とし、週末には友人を招いて小川の中にテーブルを置いて足を涼ませながらワインで乾杯するような生活を楽しみます。子供たちは学校のクラスメイト以外の友達と再会して自然の中での遊びに興じる、そうやって老若男女がそれぞれの楽しみ方を持っているのがジョージアの夏の暮らし方です。そこには不便な中にも都市生活では得難い豊かさがあります。

夏の終わりは新生活の始まり

日本人なら誰しも夏休みの終わりに宿題に追われたり、学校が始まるのがうとましかった思い出があるでしょうが、ジョージアの子供たちにとって2ヶ月半ぶりの学校再開はクラスメイトとまた会える待ち遠しいものでもあるそうです。日本と違い、9月が新学期でもあるので夏休みは新生活前のリフレッシュの時間でもあるのでしょう。

大人たちの間では都市に人々が戻ってくる9月下旬にパーティのような集いがあるのもジョージアならでは。夏の終わりに久しぶりの友人たちと再会を祝い、夏の出来事を語り合って新生活を迎えるなんてちょっと素敵ですよね。

生活の基盤は都市にありながらも暑い夏は田舎で過ごす、メリハリのついた二拠点生活が続けられているジョージアの夏についてご紹介しました。

この記事を書いた人

サスタビ編集部

「サスタビ」こと「サステナブルな旅」とは、旅を楽しみながら、広く地球環境、社会、経済に配慮し、旅先の人々の暮らしに敬意を払い、旅すること。 そうして、未来世代に遺すべき資産を守り、学び、伝え、持続可能な社会を作っていき、「責任ある旅人」が世の中に増えることを目指しています。

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