私たちは日々、旅におけるサステナビリティを探求しています。今回は代表の行方が、その範囲を広げ、旅に限らず広くサステナビリティについて考えてみます。
サステナビリティを探求するため、生命の発生について考えてみる
―サスタビでは旅におけるサステナビリティについて探求していますが、そもそもサステナビリティそのものについて考える機会は多くなかったと思います。改めて、この大きな問いについて思考してみたいと思います。
私もサスタビの運営を始めてからずっと、「サステナブルな旅とは何だろう」と考えていますが、これだという答えはまだ出ていません。だからそんな今、「そもそも、サステナビリティとは何か」を考えてみるのは、今後の役に立つと思います。
サステナビリティとは何かを探求する上で、「なぜ生命が生まれたのか」「生命はどう変化していくのか」について考えてみるのはどうでしょうか。
―生命の生まれた理由と変化の過程ですか。すごく大きなテーマですね。ただ、旅を始めとする人間の営みは、そもそも人間が生まれたからできたものだと考えると、必要な問いだと思います。
この世界は137億年前にビックバンによって生まれ、50億年前には地球ができました。そこから人類が生まれましたが、どのように増えてきたかを見ると、とても面白いです。市橋伯一著 『増えるものたちの進化生物学』(筑摩書房、2023年)によると、私たちは「増えること」「増える時に性質が遺伝すること」という、たった2つの条件によって進化してきたそうです。
―岩や鉄などの無機物と、人間のような有機物の違いは、そこにあるんですね。
本書には、増え方の方法についても書かれています。増える方法には「多産多死」と「少産少死」があるそうです。多産多死はとにかく速いスピードで増えることを重視し、栄養を効率的にとるため体の作りも単純にします。一方、少産少死は増えるスピードが遅いのですが、その分死ににくくすることで、長く生きながらえます。
―人間は、少産少死の生き物ということでしょうか?
はい。また、増える中でまれに突然変異が生まれ、新しい仕組みが発生することもポイントです。そうやって変化があることで、別の機能を持つという強みが生まれます。
人間の営みを続けていくために、サステナビリティが必要
―今回は大きなテーマでのお話となりましたが、行方さんはなぜこういったテーマに興味を持たれたのですか?
人間社会のサステナビリティを考えるためには、それをとりまく宇宙や、そもそもの進化の過程などを知る必要があると感じたからです。人間は自然の一部で、宇宙は自然そのものだとすると、その中でどんなふうに生命の法則やあり方が変わってきたのかに、関心を持ちました。そこには何か、目の前の課題と通じているものがあるはずだと今でも思っています。
宇宙の創造、変化、発展は、永遠に続くまさに持続可能なシステムです。宇宙の中ではさまざまな星が生まれ、長い時間をかけて崩壊し、また新しい星のもとになります。このような宇宙の大きな原理原則の中で、人間が生まれ、生きているわけです。
ではなぜ、人間は生まれたのでしょうか。一体、何のために存在しているのでしょうか。中には、「宇宙を認識するために人間が生まれた」と提唱している人もいます。宇宙そのものには意識がありませんが、人間が生まれたことにより、自己認識できるようになったという考えです。
―それは面白い観点ですね。
実際どうかはわかりませんが、一つの説としてあります。とにかく地球の中で人間が生まれ、5000年前には文明や文化もできました。5000年前というと途方もない過去のように思えますが、当時の人も今と同じように音楽や絵画などを楽しんでいたんですね。きっと、旅を楽しむ人もいたはずです。
そういった営みをずっと続けるためにも、私たちが旅という限られた観点からも、サステナビリティを考えていくことには意味があると感じています。
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