観光がもたらす摩擦
今回こそとの連続です。そうした「ちがい」との出会いは、通常の生活においては、不快で嫌な物であることが多いでしょう。しかし観光は「そうした「ちがい」を「楽しみ」を経由して経験する営み」です。異文化や他者との「ちがい」を楽しむこと、それが観光の本質の一側面です。
楽しみながら「ちがい」と出会い、驚きや「ガッカリ」を経験し、自らの視野を広げていくこと。観光は、「ガッカリ」という「新発見」をつうじて自己成長できるチャンスなのです。
観光とは、「さまざまな差異を備えた人びとが同じ場所に一時的に集まる時空間」にほかなりません。その場所は、たしかに摩擦やすれ違いのきっかけでもありますが、同時に他者との相互理解のきっかけでもあるはずです。この後者の可能性を追求していくことが今求められているように思われます。
今回の記事では、その一つの可能性となる考え方として先行的なイメージと「ガッカリ」の関係について検討してみました。引き続きこのテーマについては検討していきたいと思います。みなさんもぜひ、「観光地でのガッカリ」をプラスに捉え直し、異文化理解や他者との交流の可能性として観光を考えてみてほしいと思います。

サスタビ外部アドバイザー担当。北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 専任講師。立教大学大学院観光学研究科 博士課程後期課程修了。博士(観光学)。専門は文化人類学、観光研究、モビリティ研究。北海道札幌市出身。
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