UNWTO(国連世界観光機構) ――「サステナブルな旅」の定義を考える Vol.1

サスタビはサステナブルな旅の情報サイトを名乗っています。

でも実は、そんなわたしたちも『サステナブルな旅(持続可能な旅)』とはどんな旅か、断言できずにいます。言葉にするとほんの数文字の言葉ですが、そこにはさまざまな意味が込められていて、たった一つの意味を与えるのは難しい……。

だからこそ、サスタビではユーザーのみなさんと一緒にその意味を探っていくというスタンスで、サステナブルな旅と向き合っていこうと思います。

今回は、国際的な機関であるUNWTOのWebサイトに掲載されている定義を紹介します。

UNWTO(国連世界観光機構)って?

UNWTOはThe World Tourism Organization の略称で、世界の観光産業をリードする国際機関です。

The World Tourism Organization の略ならWTOじゃないの?と思った方もいらっしゃるかもしれません。実際、以前はWTOの略称を用いていた時期もありました。

しかしWTOは、世界貿易機関(World Trade Organization)と混同されやすいことから、2005年に国連(United Nations)の専門機関になったタイミングで、頭にUNを追加し、UNWTOとして再出発しました。

UNWTOのWebサイトによると、その役割は「観光分野における主導的な国際機関として、UNWTOは経済成長、包摂的な発展、持続可能な開発の推進力として観光を促進し、世界全体の知見と観光政策の質を向上させるための先頭に立ち、観光部門に対する支援(引用:国連世界観光機関(UNWTO)とは?)」すること。

ちょっとむずかしいですね。噛み砕くと、世界の観光産業を盛り上げつつ、ただ儲かるだけではなく、世の中を良くするような観光の在り方へと導くことです。地球環境への負担を減らす方法や、旅行を通じた相互理解の促進、格差解消なども彼らの役割です。

UNWTOが示す「持続可能な観光の定義」

そんなUNWTOは、Webサイト上に「持続可能な観光の定義」を公開しています。

「持続可能な観光をわかりやすく定義すると、「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」ということになります。(引用:持続可能な観光の定義)」

UNWTOのサイトに行くと、より詳細な説明文が読めますので、関心のある方はぜひそちらも御覧ください。
この定義が合っているとか、間違っているとかといった議論は行いません。まだまだ新しい概念なので、正解も不正解もないからです。その代わりに、サスタビ編集部が気になったキーワードについて少しだけ深堀りしてみます。

「訪問客を受け入れるコミュニティー」って?

「受け入れる」という言葉から、旅人と接する人、特に好意的に接しれくれる人たちのことを想像してしまいそうになりますが、ここでいうコミュニティーはたぶん違います。おそらくは、旅人と直接関わることのない人、観光経済の外の仕事に従事する人や、子どもや老人など、地域で暮らす人々すべてを指すとサスタビは考えます。
そこには、喜んで受け入れている人もいれば、受け入れても受け入れなくてもどっちでもいい人や、嫌だけど受け入れさせられている人も含まれます。誰かが得する代わりに誰かが損するような構造を是正し、すべての人が納得できるような状態をつくること。非常に難しいことですが、旅という文化を世の中に受け入れてもらうためには必要なことです。

「訪問客のニーズ」も大事

もう1点、改めて大事だなと思ったのは、旅人自身のニーズも尊重されるべきだという視点。

サステナブルな旅を考えるとき、裏側にはサステナブルではない旅とは何かが可視化されます。環境に負担をかける旅。地域住民に迷惑をかける旅。文化を破壊する旅。そうした旅のなかで、旅人はワガママな悪者として語られます。では、サステナブルな旅を実践するには、旅人はかつての旅に比べて我慢だけを強いられるのでしょうか?
もちろん、我慢をすべき場面もあるでしょうが、ただそれだけではないと、サスタビは考えます。環境への負担を減らすために工夫することで、新しい知識や技術に触れる。地域住民を気遣うことで、深い交流ができる。文化を尊重しようという意識によって、感性が磨かれる。スタディーツアーやボランティアツアーなどはその典型です。サステナブルな旅によって、旅人はマスツーリズムとは別のニーズを満たせるのです。

「定義」というと少し堅苦しいですが、「サステナブルな旅ってこんな旅」という自分なりの基準が見つかると、旅することに対して今以上に前向きになれるかもしれません。ぜひこれからも、いっしょに考えていきましょう。

この記事に対するご感想やご意見は、ぜひコメント欄から投稿お願いいたします

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

関連記事

  1. 結果の出ないことに向きあう:スローなサステナビリティのアイデア

  2. 食とサステナブルに向き合うために知っておきたい基礎知識#サステナブルと食

  3. 「かっこいい旅人」になるために【中編】:協働作業としての旅

  4. オーバーツーリズム解説!【中編】「ボトムアップ」の試行錯誤を

  5. サステナビリティは「選択」を伴う?立ち止まって考える

  6. 歴史館や博物館に訪れよう

    18 歴史館や博物館などに訪れよう

  1. 第3回サステナブルな旅アワード

    リジェネラティブツーリズム推進の機運高まる、第3回…

  2. 思いやりのある旅の行動を広めよう!ツーリストシッ…

  3. ラオス旅行で実現!スタディケーションという新しい…

  4. 旅先で土地に根付く「技術」を感じる。今治タオルの…

  5. 沖縄の新しい楽しみ方を発見!エシカルトラベルオキ…

  1. サステナブルな旅と「ごみ」の深いかかわりを知ろう

  2. 「文化の画一化」に抗する旅【前編】2種類の画一化

  3. 国内クリエイティブツーリズム都市4選!おすすめのイ…

  4. おみやげ、どう選ぶ?観光みやげの基礎知識を紹介

  5. ツーリストシップとは?田中千恵子氏から学ぶ、観光…

月別記事・レポート