ライターの体当たり勉強記録!クリエイティブツーリズムについて初めて考えてみた

サスタビでは、一つのテーマに対して複数のライターが様々な角度から探求する特集を組んでいます。
今回のテーマは、「クリエイティブツーリズム」です。オーバーツーリズムが叫ばれる今、「旅人=迷惑な存在」と感じている方も少なからずいらっしゃいます。
自分の暮らす街にやってきて、ごみをポイ捨てしたり、道を混雑させたり……
地域の方に「来てほしくない」と思われる行動をする旅人も、少なからずいます。しかし、旅人は本来、地域の方にポジティブな影響を与えられるはずです。
旅人が旅先の地域や文化を消費するだけではなく、地域住民と一緒に新しい価値を生み出す。
そんな新しい旅の姿勢について考えていきます。

第一弾:「創造的な観光」ってなに?クリエイティブツーリズム解説

クリエイティブツーリズムとはいったい何?

今回、サスタビのメンバーでそれぞれがクリエイティブツーリズムについて記事を執筆することに。しかし正直なところ「クリエイティブツーリズム」という言葉に対してなんとなくの理解はあったものの、これまで具体的に調べたことはありませんでした。

少し自己紹介をさせていただくと、「若い世代に旅を広め、未来の選択肢を広げる」ことをミッションに、旅と教育をテーマに活動している岡村と申します。これまでに世界一周を経験し、訪問した国は現在約60ヶ国。チェコ共和国のアンバサダーを務めていたり、ジョージアでゲストハウスを運営していた経験もあります。

現在は、パソコン1台でどこでも働けるデジタルノマドとして全国を巡りながら、大学で講師を務めたり、学生とともに旅を広める活動に取り組んだりしています。また、ワーケーションを活用した関係人口の誘致にも力を入れており、多様な活動を展開中です。

本題にもどりますが、クリエイティブツーリズムが具体的に何を指すのか、そしてなぜサスタビとして推奨すべき取り組みなのかを考えてみました。この記事は、「クリエイティブツーリズム」という言葉を聞いたことはあるけれど、詳しくは知らないという方を想定しています。一緒にその意味を考えていければと思います。

これはクリエイティブツーリズムに入るのか

「クリエイティブ」と聞くと、多くの人は「何かモノを作り出す活動」を思い浮かべるのではないでしょうか。
その考えをもとにするとクリエイティブツーリズムは「旅行先でモノを作る活動」と考えられるため、旅行先での陶芸体験や、吹きガラス体験、最近だと割れた食器を修復する金継ぎ体験などが当てはまるのかなと思います。

そんなことを考えていると「クリエイティブ」とは、果たして形があるモノを作ることだけなのかという疑問がでてきました。

うどん作りや蕎麦打ちといった食べ物の制作体験はどうでしょうか。最終的には食べてしまい形がなくなりますが、これもまたクリエイティブツーリズムと言えるのではないでしょうか。さらには、田植え体験のように、長い時間をかけて米を作る活動も広義ではクリエイティブツーリズムに含まれるのでは、と考え始めると可能性は広がります。

クリエイティブツーリズムの事例について

そこで実際に世の中的にはなにがクリエイティブツーリズムと呼ばれているのかを調べてみました。

クリエイティブツーリズムはユネスコが推進する21世紀型の観光モデルであり、要約すると「旅先で地元の人たちと一緒に現地の文化を体験する旅」。

つまり先に述べた陶芸や吹きグラス体験などのモノ造りから、うどんや蕎麦づくりなどの土地に根付いた食べ物の体験、さらには田植え体験などの米作りすらも地元の人たちと一緒に伝統的な方法でやるのであれば、クリエイティブツーリズムとして呼んでも問題ないようにとらえれます。

日本におけるクリエイティブツーリズムの事例として、石川県金沢市では「オープンスタジオデー」と称し、市内で制作活動を行う若手作家のアトリエを一般公開する企画が有名です。観光客は自由にアトリエを見て回ることができ、作家との交流を通して作品に込められた想いを感じ取ることができます。

ほかにも海外ではタイのチェンマイでクリエイティブツーリズムの事例などがあるようですが、詳細に関してはサスタビ内の他のメンバーに任せることにします。

なぜ今クリエイティブツーリズムが注目されているのか

紹介した事例から、クリエイティブツーリズムはアート寄りな側面があるように捉えられそうなのですが、本質的な部分は「旅先で地元の人たちと一緒に現地の文化を体験する旅」です。

観光名所を巡り、お土産を買って帰る従来型の観光とは異なり、「体験を重視した観光」への需要が高まっていることは、感覚的にみなさんもお気づきかと思います。クリエイティブツーリズムは、そこにさらに「地元の人との交流」や「地域の伝統に触れる」ことが加わったものだと感じています。

ではなぜそれが必要なのか、3つの理由からサスタビとしても取り上げる必要があり、今後注目されるべきものであると考えています。

クリエイティブツーリズム自体がサスタビの考えそのもの

サスタビでは「サスタビ20ケ条」という、誰でも実践しやすいガイドラインをだしていますが、その中にある「交流型体験プログラムに参加してみよう」「地域の文化活動に参加してみよう「伝統工芸品を応援しよう」といった項目に該当します。

旅先に負担をかけずに、旅する側も楽しめる。「モノ」ではなく「体験」に価値があるため、もしかすると今まで観光業に携わっていた人たち以外も収入を得るきっかけになるかもしれません。

地域で想いをもって活動する人たちの金銭的な支援にも繋がる可能性があります。

観光客による発信を通じて地域文化に興味を持つ人々を集客

地域文化と言っても、伝統工芸だけが対象ではありません。

地域のお祭りや風習など、実際に地域の人々と一緒に体験することで、観光客はその土地の文化を座学以外の方法で学び、通常よりも理解度を高めることができます。

また、その体験をSNSや口コミで発信することによって、これまで届いていなかった興味を持ちそうな層に情報が届き、その結果として移住者や後継者候補が誕生するのではないかと考えられます。

観光客が旅をして発信することで、後継者不足などで悩む地域の人々を支援できるのではないかと考えます。

従来型の観光と比較した際の高い充実感

モノづくりや文化の体験は、単に観光を楽しむだけでなく、自分自身のクリエイティブ能力を高める貴重な機会になります。

これにより自己表現能力が向上し、新しいスキルを習得できる可能性が広がります。また、これまで気づかなかった趣味や興味を見つけることができるかもしれません。

従来型の観光がリフレッシュを目的とすることが多いのに対し、こうした体験は旅が学びや成長の機会となり、満足度が高まります。その結果、より深い充実感を得ることができ、また場合によっては再訪の可能性も高くなり、1度行けば終わりではなく、何度も通う場所になるのではないでしょうか。

実際に体験したことのあるクリエイティブツーリズムについて

ここまで実際にクリエイティブツーリズムについて考えてきましたが、実際に今まで体験した観光の中で、「あれはクリエイティブツーリズムだったのかもしれない」というものをあげておきます。

奄美大島の泥染体験(鹿児島)

泥染めは、世界でも珍しく奄美大島だけで行われているとされる天然の染色方法。テーチ木と呼ばれる車輪梅の木と、奄美特有の鉄分豊富な泥を使った技法で、化学染料を一切使用しないためアレルギーの心配がなく、防臭や防虫効果もあるといわれています。

地域ならではの伝統的な染色技法を体験することは、まさにクリエイティブツーリズムといえるでしょう。

伝統的なものは古いイメージを持たれがちですが、泥染めを案内してくださった現地の方は、泥染めと藍染めを活用したファッションブランド「devadurga」を展開しており、若者にも人気を集めているそうです。奄美大島を訪れる際には、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

小川町の和紙作り体験(埼玉県)

サスタビのメンバーたちと一緒に埼玉県小川町を訪れた際に体験した和紙作り。ユネスコ無形文化遺産に小川町の「細川紙の技術」が登録されています。細川紙は、小川町で古くから継承されている伝統的な手漉き和紙です。

そんな和紙作りの体験を小川町和紙体験学習センターでは、入門コースから1日コース、さらに4日間のコースまで体験可能でした。

施設内には和紙で作成された展示物もあり、一連の工程を学び、実際に自分たちで体験したことで展示物に対する興味が湧きました。もし体験していなかったら、正直なところ展示物にはそこまで興味が湧かなかっただろうと感じるため、クリエイティブツーリズムの重要性を当時を振り返りながら改めて実感しています。

チェコでジンジャーブレッドにアイシング体験(チェコ共和国)

チェコ観光アンバサダーと呼ばれるものを2019年より務めていますが。チェコ共和国にてチェコ発祥のお菓子ジンジャーブレッドに、アイシングで絵を描く体験をしたことがあります。

チェコではペルニークと呼ばれるジンジャーブレッド、14世紀ごろからチェコで主流になった生姜とシナモンの入ったお菓子です。押し型は作られた当時の社会生活や宗教生活を反映しており、文化的な価値が非常に高く、首都プラハにはジンジャーブレッド博物館があるほどです。

ただのお菓子として食べるだけでなく、家の飾りとしても使われることもあり、何十年も前に作られたペルニークを見せてもらいました。アイシング体験をきっかけにペルニークがただの「お土産のお菓子」ではなく、背景や絵柄に深い意味があることに気付かされ、その後もペルニークに目が行くようになり、旅がより楽しいものになりました。

ジョージアでヒンカリ造り(ジョージア)

東欧にあるジョージアという国でゲストハウスをやっていたことがあります。その際、来ていただいたお客さんに現地を深く知る体験をしてもらいたいと、ジョージアの国民的料理「ヒンカリ」作りができるワークショップを現地で知り合ったジョージア人の方にお願いして提供していました。

ヒンカリはジョージアの水餃子、どこのレストランにもあるジョージアの人たちのソウルフード。小籠包のように中に肉汁たっぷりの水分がはいっており、食べ方を知らないヒンカリ初心者は必ずトラップにひっかかります。ワークショップを体験したことで、この肉汁たっぷりの水分の正体がなんだったのか学べたときは驚きでした。

その国でよく食べられてる家庭料理を学ぶことで食に対する理解が深まるだけでなく、現地の人との会話の際にも話題にしやすいため、旅先での料理作り体験はかなりおすすめです。

おわりに

クリエイティブツーリズムについて、これまであまり調べる機会がなかったため、自身が調べる過程をせっかくなので皆さまと共有する形で記事にしてみました。

少しでもイメージが湧いていただけたら幸いです。また、もっとクリエイティブツーリズムについて詳しく知りたいという方は、サスタビのメンバーが書いた他の記事もぜひご覧いただければと思います。

特集「クリエイティブツーリズム」の記事の第三弾は、下記からご覧いただけます(2025年2月1日公開)

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