埼玉・川越で1日サステナブルツアー!歴史と文化を実際に体験してみた

【川越】サステナブルツアー

サスタビ編集部では蔵前、草加、渋谷など関東近郊で街の魅力や持続可能性を追求する街歩きを開催してきました。
202410月の街歩きの舞台となったのは埼玉県・川越。
1日かけたツアーの中で川越の街について、そしてサスティナブルな旅の可能性を探ってきました!

埼玉県・川越ってどんな場所?

出典:https://www.city.kawagoe.saitama.jp/smph/welcome/history/history04.html

江戸との舟運で栄えたことや、国内外より多くの来訪者がその歴史を感じる特徴的な蔵造りの街並みや毎年行われている山車祭りを目的にやってくる川越。
江戸時代、川越藩の誕生がいまの小江戸・川越の起源とされており、川越城と城下町は16401655年ごろに整備されたそう。
現存する川越の街並みは、明治26年に起きた大火事後に再建された姿。明治期当時の面影を今に伝えています。

参考:https://www.city.kawagoe.saitama.jp/smph/welcome/history/history04.html

川越サステナブルツアー スケジュール

  • 10:00 JR川越駅前集合
  • 10:30 NPO法人川越蔵の会 訪問
  • 12:00 「いも恋」にてランチ
  • 13:30 小江戸川越観光協会 面談
  • 14:45 鏡山酒造 見学
  • 15:30 松本醤油商店 見学

約40年、街とともに歩みを進めてきた「川越蔵の会」

川越蔵の会

初めに訪問したのは、約40年にわたり、まちづくりや建物の保存に尽力する活動を行うNPO法人川越蔵の会
情緒あふれる小江戸の街にはどのようなストーリーがあるのでしょうか。

1960年代ごろより、現在の川越駅へと街の中心部が移り変わったことを契機に蔵造りの街並みがある一番街周辺の旧市街地の衰退がはじまりました。店主や建築関係者、行政職員など「街を後世に残したい!」との想いを持った地域の人々が集い、現在も市民主導で活動をされているそうです。

ところで、川越の街を訪れたことがある人は当時の面影あふれる街並みに魅了されたことと思いますが、これは1992年に一番街の電柱の地中化事業が、2019年には街頭を景観に合わせたものにするなど川越蔵の会の取り組みによる賜物。

伝統的な蔵造りの保存の他、各種交流会やイベントを実施するなどまちづくり・活性化にも力を入れています!

NPO法人 川越蔵の会

小江戸川越観光協会(りそなコエドテラス2階)

ランチを挟み、サスタビ一行はりそなコエドテラス内にある小江戸川越観光協会を訪問。
川越の今や課題などをお聞きしました。

蔵造りの街並みに軒を連ねる多くの店舗は、日中はにぎわいを見せていますが夕方17時ごろまでの営業がそのほとんどを占めるため、夜間は閑散としています。
また、蔵造りの街並み周辺で食べ歩きをして早ければ数時間の滞在で周遊はせず、都内へ戻り宿泊する観光客がボリューム層とのことでした。

オーバーツーリズムの問題ももちろんのこと、特にGW時期の食べ歩きによるゴミ問題には頭を悩ませているそうで、ゴミ捨て場の設置などに取り組んでいるそうです。
近年は台湾などを中心に年間約30万人もの訪日外国人が訪れるという川越の地。一番街など観光地のすぐ周辺や中心街の中にも民家が点在しています。
観光客や旅人と地元住民との距離感や共生も重要な課題であり、川越に限らずサステナビリティを考える上で、今後見過ごすことのできないキーワードとなりそうですね。

観光地のすぐ脇の小道を入るとすぐに住宅街が広がっている

小江戸川越ウェブ

小江戸川越観光協会が入居するりそなコエドテラスの情報もチェックしてみてください!

川越で2007に復活!小江戸鏡山酒造

出典:https://kagamiyama.jp/policy/

かつて川越には数件の酒蔵があったそうですが、2000年ごろにその全てが姿を消しました。
2007年設立の鏡山酒造は、最後の1軒であった鏡山酒造を現在の専務取締役である五十嵐氏を中心とした街の人々や行政の協力により立ち上がった新蔵です。

川越で250年の歴史を持つ松本醤油の協力を得て醤油蔵と併設した酒蔵

小さいタンク、小仕込みでつくられていることが特徴だそうで、訪問時はちょうど新酒の瓶詰時期。すでに予約などで売り切れているとのことで、その人気ぶりがうかがえます!
「川越の地酒」にこだわる鏡山酒造。大吟醸(山田錦)や埼玉県で初めて開発された酒造好適米である「さけ武蔵」を使用したさけ武蔵大吟醸などの定番商品から、季節限定の新商品も随時発表しています。

日本酒の要と言える「米作り」にもこだわりが。そもそも食用に流通しているものと日本酒の原料となるお米は品種が異なるそうです。
鏡山酒造は米農家などと連携し、科学的な知見も用いながら米作りの段階より関わり酒づくりと向き合ってきました。

鏡山酒造の商品は、酒蔵を利用した道の駅「小江戸蔵里」でも飲み比べを楽しむことができます!
筆者は日本酒が苦手なため、「ワイン酵母仕込純米」を頂きました。
フルーティーな香りで口当たりが良くとても飲みやすく、おすすめのお酒です。

小江戸鏡山

松本醤油商店

続いては、鏡山酒造と同じ建物にある蔵元「松本醬油商店」へ。江戸時代に建造された醤油蔵の見学をさせていただきました!
川越市の都市景観重要建築物にも指定されている醤油蔵へ足を踏み入れると、立ち込める木桶と醤油の香りがわたしたち一行を迎えてくれます。

約250年の歴史を持つ松本醤油のお醤油づくりは、昔ながらのシンプルな原料と製法により受け継がれてきたもの。
原料となる小麦や大豆は国産にこだわり、蔵に生息する麹菌や酵母菌、乳酸菌など菌類の働きにより醤油がつくられています。

観光地を巡るだけではなく、古くから続く街の伝統を知ることはサスタビ20カ条の「18 歴史館や博物館などに訪れよう」にも通じるポイントが多くありますね。
かつては周辺にも数件の醬油蔵があったそうですが、現在最後の1件となってしまったそう。
各地で伝統が消えつつあることや、次世代の担い手が不足していることなど改めて考えるきっかけにもなった訪問でした。

醤油蔵の見学は無料で開催されていますので、川越を訪れた際には街や文化の変遷に思いを馳せながら実際に体感してみてはいかがでしょうか。

川越松本醤油

下記から過去に実施した街歩きの様子もチェックしてみてください!


今後もサスタビでは街歩き企画を予定しています!ご興味のある方はお問い合わせフォームからぜひご連絡ください。

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