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【神奈川】鶏の解体ワークショップで「食の裏側」を考える

【神奈川】鶏の解体ワークショップで「食の裏側」を考える

わかってるつもりでいた「命をいただく」こと

みなさん、今日お肉を食べましたか?牛肉、豚肉、鶏肉、それともお魚でしたか?

私たちが普段食べている肉や卵、魚に野菜はすべて、もとは生きていた命。だからこそ、それを食べるときに私たちは手を合わせ「いただきます」という言葉を口にします。しかし「命をいただく」という当たり前のことが、当たり前であるが故に、わかったつもりになっていないでしょうか…?

今回は神奈川県・小田原を拠点とするNPO法人MOTTAIと、大磯にある鶏の楽園・コッコパラダイスが主催する鶏の解体ワークショップ『普段食べているチキン、それってどうやってできているの?』というイベントに参加した様子をお届けします!

鶏解体WS

『普段食べているチキン、それってどうやってできているの?』

このイベントはその名前の通り、知っているようで知らない鶏について解体を通じて学び、普段見えていない“食の裏側”を感じ・考えるワークショップです。

画像提供:NPO法人MOTTAI

主催するNPO法人MOTTAIは「当たり前の裏側にアクセスしやすい社会を創る」ことを目指し、農業や狩猟に触れる体験や、食について考えるイベントを実施しています。現代の都市部では農家や漁師、猟師など第一次産業との距離が遠くなり、テレビやネットなどで見る二次情報で食が生まれる過程を「知ったつもり」になったまま、私たちは当たり前のように消費をしています。

そこで消費者と生産の現場をつなぎ、実際に見たり・触れたり・体験したりを通じた一次情報を増やすことで「実はこんな感じになっていたんだ!」という気づきから、食に対する当事者意識を育てる活動をしているのです。

NPO法人MOTTAIの菅田さん(左)とコッコパラダイスの末永さん(右)

ワークショップの現場となる養鶏場コッコパラダイスでは、アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮した平飼いで、抗生物質・農薬・添加物などの人工資材を一切使用せずに、自然が持っている力を最大限に引き出す方法で鶏を飼育しています。人の健康にも動物にも環境にも安心安全な食を広めるために、NPO法人MOTTAIとの協働の他にも、地域の有機農家とレストランを運営したり、森の保全ボランティアをしたりと幅広い活動をしています。

まずは鶏について知ろう!

小さな檻の中で鶏を管理する「ケージ飼い」ではなく、自由に歩き回れる「平飼い」飼育

はじめに鶏舎を見学。末永さんからここで飼育している鶏の種類や、こだわりについて説明してもらいます。のびのびした鶏舎で平飼いをする他、地域の中で出た廃棄される食材や無農薬で育った野菜くずなどを混ぜた、自家製の発酵飼料を与えているのだそう。地域内の資源の循環にも一役買っています。

そのあとはクイズで鶏について少し詳しくなってから、解体の手順を教えてもらいます。この全10問の『ニワトリクイズ』は一見簡単そうな問いばかりなのに、これまでに全問正解した参加者は一人もいないのだとか……。今回も最高得点は8点でした。

いざ解いてみるとわからないものばかり……。

いざ解体 -命を自分の手で奪う経験-

※注意:この先、鶏の解体に関する描写・画像があります。

座学での説明が終わるといよいよ解体。鶏舎の中から解体する鶏を捕まえます。腕の中の鶏は激しく鳴いたり暴れたり、必死に生きようとするエネルギーを直接感じます。

同じ殺すのでも、少しでも痛みを感じないよう頭を打ったり、首をひねったりして鶏を失神させます。いざ首に手をかけた時は、申し訳ない気持ちや恐怖、躊躇いが生まれると同時に、「はやく苦しみから解放してあげないと!」という焦りと決意も沸き上がります。

参加者の葛藤がその場の空気にまで伝わってくる

命が食に変わる瞬間は?

狩猟免許を持っている菅田さんによる丁寧な説明

首を切り、羽をむしり、産毛を焼くと……見慣れたチキンの姿が見えてきます。

NPO法人MOTTAIの菅田さんは「羽がなくなった時点でお肉に見える人もいれば、生きている状態から食材と捉える人もいます。価値観は人それぞれ、だからどの段階から食材と捉えるかに正解はありません。批判をするのではなく、その違いさえも楽しんでもらえた」と語ります。

詳しい解体の工程や、私を含め参加者の方が感じた気持ちはここでは書かないでおきます。皆さんもぜひ、メディアを通じた二次情報ではなく、実際に体験し、ご自身の体と心で感じてみてください。

当たり前の「食」を見つめ直す

鶏を抱えた時の不安や恐怖、首を切る前の緊張感、少しずつ冷たくなっていく鶏の体温。そんな様々な“生の情報”に対して目まぐるしく感情が変化する一方で、「そうだよな、こうやっていつも命を食べているんだよな。」という納得のような感覚もスッと自分の中にあることに気づきました。

命を奪い、食べることで生きる。そんな「当たり前」が、1周回って、実感と共に再び「当たり前」になる。お肉を食べるすべての人にぜひ感じてほしいな、知ってほしいなと思う瞬間でした。

食になった命をどう頂くか

自分で解体したお肉は持ち帰ることも、コッコパラダイスが地元のビストロ『二宮サロン』とコラボして立ち上げたレストラン『のうてんき』に持ち込んで調理してもらうこともできます。

お肉だけでなく、次の命になる卵も。

画像提供:NPO法人MOTTAI

お肉を食べることも、減らすこと/食べないこともそれぞれの選択です。私は「今まで食べていた量のお肉は、もう要らないかもしれない」と感じました。そして「食べるなら、どうやって育てられたのかわかるものを、できれば知っている人が育て、届けてくれるものを、必要な分だけ大切に食べられたら幸せだな」とも。

食は旅の大きな楽しみであり、また人生における大事な楽しみでもあります。今一度、食べることの当たり前を見つめたいと思う体験でした。

この記事を書いた人

鈴木 さやか

ライター・コミュニティ運営

東京大学大学院在学中。専門は環境教育/社会教育。渥美半島⇔横浜の2拠点生活でローカル(実践)とアカデミア(理論)を行き来しながら、無理なく持続可能な生き方の選択肢を探求中!

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