国内におけるサステナブルツーリズム事例を紹介

日本ではまだ浸透していないサステナブルツーリズム

近年、世界中でオーバーツーリズムやゴミ問題など、観光を起因とした環境に関する問題が多発し、サステナブルツーリズムの必要性が高まりをみせていますが、日本は海外と比べるとあまり浸透していないのが現状です。

例えばパラオは、入国時には環境保護を誓った方のみ入国が許可される「パラオ誓約書」への署名が義務づけられています。ほかにも世界で初めて「日焼け止め」に関する法律を施行するなど、国全体を掲げて活動が活発です。

サステナブルツーリズムを推進することでもたらされる地域社会への貢献は、貧困の削減や雇用の創出など多岐に渡ります。

日本で先進的なサスタビの事例

実際にサステナブルツーリズムを取り入れている国内の地方自治体や地域の具体的な事例を5つご紹介します。

【岐阜県】日本の源流に出会える旅

岐阜県では「日本の源流に出会える旅」をコンセプトに持続可能を意識した取り組みが、サステナブルツーリズムが話題になる以前から実施されています。本来の土地の文化を尊重し、ありのままを楽しむことが大切にされているのが特徴。

世界遺産にも登録され合掌造り集落で有名な「白川村」は今でも人々が生活を営んでおり、観光客はそこで宿泊し、囲炉裏を囲んで食事をするなど、その暮らしぶりが体験可能です。岐阜県は持続可能を意識した取り組みにより、2009年からの10年間で外国人宿泊者数を約12倍に増やすことに成功し、日本におけるサステナブルツーリズムの第一人者として評価されています。

【群馬県】アウトドアスポーツの推進

群馬県のみなかみ町は、自然を守りながら観光客に楽しんでもらう「ラフティング」を取り入れ、サステナブルツーリズムの成功例として注目を集めています。みなかみ町は、90年代に約170万人にも上った観光客が2009年に約86万人にまで減少したことをきっかけに、商業目的のラフティングをやめ、ありのままの自然を活かしたアクティビティによる環境産業の育成が始まりました。

町内のアウトドア会社同士で自然環境の在り方について議論し、環境に配慮したコンテンツづくりを実施するなど地域一丸となった取り組みを行っています。ラフティング以外にも和太鼓や田植えを取り入れ、インバウンドの観光客に人気の高い「文化体験ツアー」を提供するなどの施策も実践し、2016年には約366万人の観光客の招致に成功しました。

【沖縄】ザ・リッツ・カールトン沖縄のGood Travel with Marriott Bonvoy

ザ・リッツ・カールトン沖縄では地域コミュニティの活性化と環境保全への取り組みをテーマにした、高付加価値で満足度の高い体験型プログラム「Good Travel with Marriott Bonvoy」を実施しています。「Good Travel with Marriott Bonvoy」は、アジア太平洋地域の15軒のホテルにて、環境保全、社会貢献、海洋保護の3つを視点にしたプロジェクトです。

沖縄のリッツ・カールトンでは、ホテル滞在中に海の中に珊瑚を植えて元に戻す、”珊瑚を育てる”経験ができます。そのほかにもマングローブ保護、珊瑚礁の移植や保全活動、ビーチ清掃、地域コミュニティへの食料配布や文化交流ができ、「ここでしか体験できない特別」な宿泊体験を通じた学びがあるのが魅力です。

【山形県】山伏修行での国を超えた共通体験

1400年の歴史を持つ出羽三山では、山で修行する僧侶が経験していた山伏修行を行うツーリズムを外国人向けに提供。自然と一体となって人間との共生を体感し、日本古来からの山伏の精神文化を実際に体験することで自分自身を見つめ直せます。

外国人に文化や歴史を知識として共有することが目的ではなく、山伏が体験した修行を体験して自然について意識を持つことが共通の体験となり、国を超えた理解が共有できるのが魅力です。

【新潟県】ファンクラブ制度を活用した関係構築

新潟県の佐渡市では、観光客をはじめとした関係人口の確保を目指し、リピーターとなってもらうた めにファンクラブ「さどまる倶楽部」を活用し、旅行者動向の把握に努めています。「さどまる倶楽部」は、島外在住者なら誰でも無料で登録でき、会員になると旅行中に利用する船やタクシー、レンタカーが割引になるほか、島内の協賛店舗で旅行中にさまざまなサービスが受けらるとのこと。

アプリ版として観光地域通貨を開始し、コロナの際にはポイント付与などの取り組みを行い、新規アプリ会員の獲得や非接触決済を推進させ、島内経済に好影響を与えています。取組はリピーターの確保にも繋がり、2020年の域外のファンクラブ会員数としては現時点で日本1位です。

さいごに

サステナブルツーリズムを意識した観光地が増えてきていますが、情報が散乱しており利用者側が選びたくてもなかなか出会いのが現状です。当サイトでは事例の紹介とともに、「行きたくなるサスタビ情報」を集約しながら発信することで、旅行者側がサスタビを選びやすくなればと考えています。

他にも「これはサスタビとしてサイトで掲載してほしい」というものに旅中に出会いましたら、こちらより情報の提供をお願いします。

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