サスタビを知る「サステナブルな旅って、なに?」―そんな素朴な疑問について、さまざまな視点から考えます。

サステナブルな進化を続けているジョージアのトビリシ-建物編-

サステナブルな進化を続けているジョージアのトビリシ-建物編-

近年世界中から旅行者、ノマドの注目を集めるジョージアの首都トビリシ、先の見通せないパンデミックの中も旅行や移り住みに訪れる人々が年々増えているのです。

トビリシという街の魅力の一つに独特な街の景観があります。帝政ロシア時代の19世紀から残る歴史的建造物やソ連時代のコミュニズムな香りただよる建築が織りなす街並みにはヨーロッパともアジアとも判別しがたい不思議な魅力に満ちています。

本稿ではトビリシの街とその持続可能な都市開発の進め方について見ていきましょう。

ソ連時代の工場跡が人気ホステルへ

ジョージアファブリカ

トビリシの人気スポットの一つにFabrikaがあります。ホステルと名乗っていますが利用者は宿泊者だけに限らずむしろ非宿泊者の利用者の方が多いくらい。

一階には広いラウンジスペースがあり毎日たくさんのノマドワーカーが集まります。高速なwifiを備えたラウンジスペースの利用は無料。軽食やドリンクもスマホアプリからオーダーが可能とまさにノマドに理想的な環境です。

中庭にはカフェやバーが複数あり、そのほかにもバーバー(床屋)やレコードショップ、ジョージアンブランドのアパレルショップ、セラミック(陶磁器)スタジオなど多様なテナントが入居しています。屋上では定期的にヨガや映画上映などのイベントも開催されていてFabrikaを訪ねる理由も人によってさまざま。外国人だけでなくジョージア人にも人気のカルチュラルコンプレックスとして2017年のオープン以来、トビリシの新しい顔になりました。

 

ジョージアのサステナブル

実はこの施設の建物はソ連時代の縫製工場でした。Fabrikaという名前はFabric(生地、布)からきているのでしょう。1991年のソ連崩壊後は廃墟となっていたのを更地にして建て直すのではなくリノベーションして活用しました。ソ連時代の工場の特徴である頑丈で無骨なつくりを活かしたインテリアコーディネートが国内外のヒップスターにも好評をもって受け入れられたようです。

このように遊休不動産をサステナブルに有効活用しているトビリシのビジネスモデルはいくつも例を挙げることができます。

Fabrikaと同系列のStamba Hotel、Rooms Hotelもソ連時代の出版社ビルを改装したものですし、レストランやカクテルバーなどが集まったWine Factoryは19世紀のワイナリー、ワインセラーを保存しながら開かれた施設です。

旧市街の景観を残すレストレーションプロジェクト

マルジャニシヴィリ

古き伝統建築を残そうという取り組みは民間だけでなく行政による再開発にも見られます。レストレーションとは復元のこと。トビリシ市政府はNPOトビリシ開発基金を設立し、トビリシの旧市街を中心に伝統的な建築群のある街区の保全復元プロジェクトを進めています。

地下鉄マルジャニシヴィリ駅前を南北に走るアグマシェネベリアヴェニューは駅前広場を中心に美しいヨーロッパ的な建築が軒を連ねており、トビリシ旧市街の中でもほかとは異なる雰囲気が楽しめます。この街区は19世紀にドイツから移住してきたドイツ人の居住区でした。

その街並みはソ連時代を通じて残されてきましたが現在、老朽化が進む中で取り壊すのではなく現代の安全基準に照らした耐久性を補強しながら外装、内装共に復元して観光資源としても活用する、というのが上述のトビリシ開発基金による2015年のプロジェクトでした。

現在きれいにレストレーションされたアグマシェネベリアヴェニューは駅前から北はショッピングセンターやレストランが伝統建築の中に入っており、南側は車両の通行を禁止してツーリスト向けのカフェ、バー、レストランが並んでいます。

トビリシ開発基金の活動は歴史的文化的遺産としての旧市街の街並みの保全と復元。その理念は海外からのツーリストおよびトビリシ市民にとって魅力的、かつ安全でエコロジカルクリーンな環境づくりと紹介されています。現在はソロラキ地区の一部で古い住宅地のレストレーションが進められています。

未来と過去がとけあう街トビリシ

トビリシの近代的建物

今回紹介した二つの例を見るとトビリシが官民連携してサステナブルなインバウンドを促進していることがわかったかと思います。

しかしトビリシの景観の魅力は保護された街並みだけではありません。トビリシは上記のように古き価値ある建物や街区を大切にする一方でユニークな形状の現代建築でも有名です。2010年代には国家プロジェクトでパブリックサービスホール、エキシヴィジョンホールなど様々な公共施設が建設されました。

古い街並みの中に突如現れる近未来的な建築はその奇抜な美しさが際立って映えます。6世紀からジョージアの首都として長い歴史を誇りとするトビリシ。その景観については同じく古都である京都市のように伝統の文化と建築を大切にする一方で、新しい文化や建築も取り入れていく柔軟な姿勢のようです。

このことも旅行者や移住者に好まれる理由の一つなのかもしれません。トビリシを訪ねる際は旧きものと新しいものが交ざりあって発展を続けるその景観を楽しんでみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

サスタビ編集部

「サスタビ」こと「サステナブルな旅」とは、旅を楽しみながら、広く地球環境、社会、経済に配慮し、旅先の人々の暮らしに敬意を払い、旅すること。 そうして、未来世代に遺すべき資産を守り、学び、伝え、持続可能な社会を作っていき、「責任ある旅人」が世の中に増えることを目指しています。

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