「サステナブルツーリズム」についてさまざまな角度から情報発信をしているわたしたちサスタビ。
日本では、サステナブルとよく似た意味で使われることも多い「エシカル」を軸とした「エシカルトラベル(エシカルツーリズム)」という言葉も近年登場しています。
本記事では、エシカル・コンシェルジュである筆者が次世代に楽しい旅を伝え、残していくためのヒントのひとつになり得るヒントを探っていきます。
エシカルトラベルとは
エシカルトラベルを考えるにあたり、「エシカル」の意味や使い方についておさらいしましょう。
エシカルとは、「倫理的」の意味を持つ形容詞のことで人、地球環境、社会、地域に配慮した消費やサービスを指します。エシカル協会では、「エいきょうをシっかりカんがえる」とキャッチコピーを掲げて普及に努めています。
「エシカル」の具体的な使われ方としてはエシカルコスメ、エシカル消費、エシカルフードなど「エシカル○○」のワードがあり、その中のひとつに「エシカルトラベル(エシカルツーリズム)」があります。
エシカルトラベルは、正式な定義があるものではありませんが「思いやりや配慮を持った旅」ととらえることができるでしょう。
サステナブルツーリズムとの違いや関連性
エシカルトラベルは、しばしサステナブルツーリズムと混同されがちでもあります。国連世界観光機関(UNWTO)によると、サステナブルツーリズムは以下のように定義されています。
訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光
サステナブルやSDGsとも向いている方向性が同じですが、サステナブルツーリズムが広義であることに対し「豊かさの裏側にある、普段は見えにくい問題に目を向け思いやりの心を持つこと」の意味合いがより強いものがエシカルトラベルではないでしょうか。
サステナブルツーリズムの包括する環境への配慮やダイバーシティなどもエシカルトラベルに含まれていると考えますが、上記の意味合いがより強いものと筆者はとらえています。
個人主義や行き過ぎた自己責任論が世にはびこる中、日本古来の「おたがいさま」や「もったいない」の精神にも深く結びつきがあるエシカルの考え方は新しい考え方ではなく、本来わたしたちにとって当たり前のものだったはずです。
エシカルトラベルの具体例
エシカルトラベルの概要について確認したところで、ここからはエシカルトラベルの実例を見ていきましょう!
エシカルトラベルオキナワ「おきなわ物語」

引用元:https://www.okinawastory.jp/feature/ethical_travel/
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が推進する「エシカルトラベルオキナワ」は、沖縄の自然、伝統、産業に触れながら“地域とすごす旅”を掲げ県内の観光事業者と共に、観光情報メディア「おきなわ物語」を運営しています。エシカルトラベルコンテンツの考え方については、以下のように定義しているそう。
- 自然環境を大切にしている
- 人と動物の命を大切にしている
- 地域文化と伝統を大切にしている
- 公平性・透明性を大切にしている
サイト上には、テーマ別のスポットやイベントなどの旅に欠かせない定番のコンテンツから、古民家、民宿などの宿情報、エシカルなモデルコースの提案など沖縄のエシカルトラベルが丸わかりの充実した内容が盛りだくさんです!
箱根でエシカル旅
小田急電鉄が提案する「エシカル旅プラン」は、実質的にカーボンオフセットしながらの公共交通利用やホテル宿泊に加え、箱根町の自然景観等の保全にも貢献できることがポイント。ひとつめのテーマ「脱炭素」においては宿泊先での1泊と企画乗車券「箱根フリーパス」、往復ロマンスカーをセットにした既存旅行商品「箱根ベストパック」に、1人あたり1,000円を加算・その半額をJ-クレジット制度活用によりカーボンオフセットを実現している他、ロマンスカーをはじめとする小田急線すでに再エネ化された現地のロープウェイはすでに再エネ化されているそう。
次に「地域応援」の面では1人あたり1,000円を加算・その半額を地域への寄付に充てる他、「寄木細工」をモチーフにしたNFTアートがプレゼントされるなど遊び心にもあふれた内容ですね!
アフリカ・ギニア文化体験ツアー2025

引用元:https://www.ichigojam.org/guineatour
NPO法人一期JAMとギニア現地法人イヌワリアフリカが主催する、西アフリカ・ギニア共和国にて、2025年2月2日から16日の15日間の日程で開催予定の文化体験ツアー「ギニア文化体験ツアー2025」。伝統音楽や手つかずの自然、美しい文化と温かい人々に彩られたギニアの魅力を、「ウェルビーイング×社会貢献×エシカルトラベル」をテーマに体験できるそう。
まず「心を解き放つウェルビーイング体験」ではギニア発祥の伝統楽器「ジャンベ」やアフリカンダンスを現地アーティストから学ぶプログラムを体験。続いてNGO主催の子ども食堂の運営や音楽交流イベント参加を通じて異文化交流体験。他にもギニアママの家庭料理体験や伝統的な漁村を訪問するなどエシカルをたっぷり堪能したい人にうってつけですね!
エシカルマインドで旅を楽しもう
今回はエシカルトラベルについて解説しました。個人でも、再エネを導入したホテルや古民家を活用した宿を選ぶ、地域ならではの食べ物を選ぶ、自然体験や伝統文化を知るスポット、体験を積極的に取り入れてみる、ゼロウェイストを意識するなどエシカルトラベルの実践方法は数多くあるでしょう。
サスタビ20カ条や他の記事も参考にしながら楽しく持続可能な旅を目指しましょう!

フリーのライター/エシカル・コンシェルジュ。学生時代、100本以上のドキュメンタリー映画を通し世界各国の社会問題を知る。事務職を経て独立後、ソーシャルグッドに関連する記事を執筆。都会暮らしからはじめるエシカルな暮らしを実践中。
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