スリランカ紅茶の故郷ウバで学ぶ、手づくり紅茶体験と紅茶文化

世界三大銘茶といえば、インドのダージリン、中国のキーマン、そしてスリランカのウバ。

国を代表する産業である紅茶産業について知るため、現地で茶摘み&紅茶作り体験をしてきました!

スリランカ紅茶の歴史とウバ産地の魅力

今回訪れたのは、Uva Halpewatte Tea Factory。街の中心地から車で15分ほどの距離にあります。スリランカでも最大級の紅茶工場で、この国の産業や文化を知るのにうってつけです。今回は、30ドルのHandmade Tea Tourに参加しました。

指定された時間に到着すると、スタッフの方が迎えてくれ早速工場の敷地に広がる茶畑に足を運びます。見渡す限りの茶葉に、気分はリラックス。この豊かな自然の中、スリランカ紅茶の歴史や特徴について解説を聞きます。

スリランカではもともと、イギリス領としてコーヒー栽培が盛んでした。しかし、1868年にさび病という病気が流行り、セイロンコーヒーが甚大な被害を受けます。

コーヒー栽培が斜陽になる中、トーマス・リプトンがコーヒー農園を買い取り、茶畑を茶工場を作りました。それがきっかけで、ウバ地区は世界三大銘茶に名を連ねるほどの紅茶の産地となったのです。

続いて、茶葉の摘み方を教えてもらいました。茶摘みの際、取るのは新芽の部分だけ。下の方にある固く古い葉は、おいしくありません。

新芽の頂点にある部分と、上から2枚の葉の部分だけを選別して摘むことで、おいしい紅茶が出来上がります。

説明を聞いた後は、実践編です。現地の人が使っているのと同じ網かごを借りて、摘んでいきます。初心者はかご部分を前に持ってくるスタイルがおすすめとのことでしたが、せっかくならと背中で背負う伝統的なスタイルに挑戦しました。

初めのうちは上手く先端だけをつまめませんでしたが、続けていくうちにスピードアップ。とはいえ、現地の方がやっているのと同じ速さには追い付けず……。遅いながら一生懸命採っていきました。


スリランカの紅茶工場見学&手作り体験

茶葉が摘めたら、工場の内部に移動します。まずは、茶葉から紅茶ができるまでの工程を教わりました。初めに茶葉を薄く広げて、温風を浴びせて乾燥させます。次に揉捻機にかけてもみ、茶の組織細胞をくだきます。

つづいて20~25度で発酵させます。最後に乾燥機にかけたら、形やサイズをそろえ、茎などを取り除きます。実は、紅茶も緑茶もウーロン茶も、もとは同じ茶葉からできているんです。まったく発酵しなければ緑茶、完全に発酵させれば紅茶、半分だけ発酵させるとウーロン茶になります。

出来上がった紅茶は袋づめされ、首都コロンボに運ばれます。そこで国が主催するオークションにかけられ、リプトンやディルマといった紅茶ブランドが購入するそうです。紅茶がオークションで競り落とされているなんて、初めて知りました。

こちらの工場では大型の機械があり、すべてシステマティックに動いていました。最後の工程では、カメラで葉のサイズや茎などを判別し、自動で振り分ける仕組みになっているそう。

見学を終えたら、お茶作りに入ります。

かごに茶葉を広げて、少し蒸します。

次に、かごの上でもんでいきます。この時、激しくもむとコクがあり味の濃い紅茶に、優しくもむとフレッシュで優しい味わいの紅茶になるそうです。

その後、機械で感想させて袋詰めをしました。

紅茶産業とサステナブルツーリズム

サステナブルな旅の秘訣は、旅先の歴史や文化を知ること、その意味で、スリランカでの紅茶作り体験はとても有意義なものでした。ここに書いたことは、ネットで調べても出てくる情報かもしれません。

しかし、実際に足を運ぶことでしか感じられないことがあります。山の斜面いっぱいに広がる茶葉や、葉をこすったときの香り、工場で働く人の生き生きとした表情。これらは、スマホごしには感じられないものです。

また、スタッフの方に自由に質問できることもポイントでしょう。例えば、「日本では一次産業が斜陽になってしまっている。スリランカではどうか?」と聞いたところ、紅茶産業は人気が高いということを教えてもらえました。疑問を見つけて、答えを聞く。そうやって相手を理解することが、サステナブルな旅の大切なステップです。

みなさんも、スリランカにお越しの際はぜひ体験してみてください。

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