食事や飲み物はもちろん、シャンプーや石けん、スキンケア用品に至るまで、館内で提供されるすべてのものがオーガニック。建物自体も大部分を自然素材でまかない、電力は再生可能エネルギーの比率が一定以上。
そんな環境配慮が行き渡ったホテルだけが名乗れる称号が、「BIO HOTEL(ビオホテル)」です。
オーガニック先進国オーストリアで生まれた「BIO HOTEL」の概念
「BIO HOTEL」の概念は、約20年前の2001年、オーストリアからはじまりました。オーストリアは、国内の農家の10%が有機農業に取り組むと言われるほどのオーガニック先進国です。
最初は賛同者が少なかったこの考え方は、時代の変化とともに多くの人の支持を得、2016年時点で、7カ国(ドイツ、オーストリア、イタリア、スイス、フランス、スペイン、ギリシャ)に、約100軒の認証ホテルができるほどになりました。
日本にも、ヨーロッパ本部の公認団体であるBIO HOTELS JAPAN(BHJ)が、2013年に発足しています
プロモーション目的での獲得は困難な、厳格な認証基準
その認証基準は非常に厳しく、2021年現在、国内には認証ホテルが3軒しかありません。BHJのWebサイトで公開されている基準の一部を抜粋します。
- フード基準(食べ物・飲み物等)
基本的に全てBHJガイドラインに達したものであること - フード基準(食べ物・飲み物等)
全てBHJガイドラインに適合したものであること - 環境基準
1つ以上のCO2排出量削減の取り組み
< BHJガイドライン >
- 原料・加工・製造・流通過程がすべてが明らかであり、可能な限り情報の公開ができること
- 安全性を第一に、製品本来の機能を十分に発揮した製品であること
- 魅力的なデザイン性を備えていること
- 生態系や環境への負荷に配慮した生産方法でつくられたものであること
- よりよい製品を生活者に届けるために努力をする生産者や製造者・流通者であること
- 次世代に受け継がれていくべき持続性や価値を持った製品や取り組みであること
- 製品の背景や製造者・流通者の理念を含めて、本当によい製品と判断できるもの
- 可能な限りその近郊の(国内生産)のものであること
フードに関しては、基準の達成度によって5段階にランク付けされ、「食品・飲料品の年間仕入れコストの50%以上がBHJガイドラインに適合」では下から2番めの格付けで、BIO HOTELを名乗ることは許されず、FOBH(フレンズオブビオホテル)に留まります。
BIO HOTELを名乗れるのは、3段階目からで、「食品・飲料品の年間仕入れコストの75%以上がBHJガイドラインに適合」と、ぐっと基準が厳しくなります。
集客のために認証を得ようとするには割が合わない厳しい基準。だからこそ、本気でBIOに取り組む施設だけが認証されています。健康や環境に関心のある方は、ぜひ一度、認証ホテルに宿泊してみてはいかがでしょうか?
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