コロナ前は1年間に地球を35周していたというフォックス・タイイチさんに、世界の国々の今を聞く連載企画。第五回のテーマは「グローバル版・友だちの作り方」。旅先で次々と新しい友人ができるというタイイチさんに、どんな風に仲良くなるのかを聞いてみました。 今週はトルコ北西部の都市、ブルサからお答えいただきました。
SNSで、日本好きコミュニティーを探せ!
サスタビ編集部:今週はどちらにいらっしゃるんですか?
タイイチさん:トルコのブルサっていう街にいます。イスタンブールから船で2時間くらい、マルマラ海の対岸にある、住民400万人くらいの街です。
サスタビ編集部:前回おっしゃっていた環境公害、Sea snot(海の鼻水)が発生している場所ですね。
さて、今回うかがいたいのは「友だちの作り方」です。これまでにも、おもしろい友人のお話をうかがってきましたが、タイイチさんが彼らとどうやって仲良くなっているのか、そのコツを教えて下さい。
タイイチさん:共通の話題がある人に声をかけることですかね。やっぱり、興味関心が一致しない人とは話が弾みませんから。
サスタビ編集部:それって、話しかけてみるまで分からないことでは?
タイイチさん:SNSを使えばいいんですよ。SNS上には、興味関心でつながるコミュニティーがあるので、そこにいる人に声をかければ、相手が何に興味を持っているかあらかじめ分かった状態で会えます。
僕はクリプト(暗号資産)やメタバースに興味があるので、そのコミュニティーの人たちとはよく会っています。
サスタビ編集部:なるほど。でも、タイイチさんのように詳しく語れるような分野がない方もたくさんいるかと思います。そういう人でもSNSで友だちが見つかりますか?
タイイチさん:これを読めている人、つまり日本人は全然問題ないです。どこの国に行っても、日本好きのコミュニティーは絶対ありますから。クリプトやメタバースなんかに興味ある人より、よっぽどたくさんいます。けっこう小さな街に行っても、必ずいます。
例えば僕は、マケドニアの田舎の村で、日本のテレビ番組ばっかり見てる女の子に会ったことがありますよ。もちろんマケドニア語に翻訳されてなんてないんですが、独学で勉強して、日本語のまま観て楽しんでいるそうで。日本人にはじめて会ったみたいで、特に喜んでくれましたね。
サスタビ編集部:たしかに、日本のことなら話せますね! SNSは何を使うんですか?
タイイチさん:国や年齢によって使っているSNSは変わりますね。僕は全世界・全年齢の人と会いたいので、Instagram、Facebook、Twitter Messenger、テレグラム、LINE等々、たくさん使っています。仲良くなりたい人のイメージが明確ならいろいろ使う必要はなくて、相手が使っていそうなツールを調べて、それだけ使えばいいと思います。
警戒しすぎも、信頼しすぎも✕
サスタビ編集部:SNS経由で人と会うことで、危険な目にあったことはないですか?
タイイチさん:もちろんゼロじゃないですが、こちらから声をかけて、しっかりコミュニケーションしてから会えば、まず問題ないですよ。少なくとも、街で向こうから声をかけてくる人よりはずっと安全です。
サスタビ編集部:たしかに、騙す気があるなら向こうから来ますよね。
タイイチさん:もちろん、話しかけてくる人全員が悪人ってわけではないんですけどね。こないだも、キューバの街中で声かけてきたおじさんはただのいい人だったし。コーヒーやシガーを振る舞われて、多少お金取られてもいいやって思ってたら、全部おごってくれました。
結局は個々人の差で絶対に安全、絶対に危険というのはないので、警戒する気持ちと信じる気持ちをバランス良く持つのが大事なのかもしれませんね。SNS経由の場合も、最初は人の多いところで会うくらいの自衛は最低限必要ですし。
バーチャルが進化した今、リアルで会う意味
サスタビ編集部:タイイチさんはどのSNSを一番使うんですか?
タイイチさん:厳密にはSNSじゃないのですが、一番多くの友だちができたのはセカンドライフっていうサービスです。今でも使っているんですが、最初にハマったのは2006年くらいだったと思います。3DCGの世界で他のプレイヤーと交流し合うっていう、流行りのメタバースのはしりですね。
バーチャル上のもう1つの世界っていう感じで、そのなかでいろいろ仕事をしている人がいて。英会話レッスンだったり、バーだったり、映画館だったり。株式や仮想通貨の取引所もあるんですよ。テクノロジーやビジネスに関心のある人がSNSより多いので、僕が会いたいなと思うような人が見つかりやすいのもポイントです。
サスタビ編集部:2006年からだと15年くらいですか。すごく長く使われていますね。機能も進化しているんですか?
タイイチさん:めちゃくちゃ進化していますよ。昔はインターフェイスが弱くて、操作しづらかったんですよ。ユーザーが自由になんでもできる、すごくインタラクティブなサービスなのに、操作はキーボードや十字キーでめんどくさくて。それでいまいちユーザーが増えきりませんでした。今はVRゴーグルやだったり、ハンドクラプティングっていうものを手で掴むよに操作できるデバイスだったりができて、操作感が格段に良くなっています。
サスタビ編集部:バーチャル上でも、自由にコミュニケーションできるようになった今、それでもリアルに会いたいと思いますか?
タイイチさん:もちろん。バーチャル上でも完結できるからこそ、実際に会うと、「わざわざ会いに来てくれた」って思ってもらえて、仲が一段と深まるんです。来週、スイスの友だちと会うんですけど、彼は10年くらいの付き合いなのに、実際に会ったのは3年前がはじめてで。実は彼とは今、一緒にビジネスをやっているんです。その話が出たのも、リアルで会ったことがきっかけでした。コロナ禍もあって、いろんなものがオンライン化していますけど、なんだかんだリアルなコミュニケーションも大事だなと思いますね。
<プロフィール>
Taiichi Fox, 和田泰一
アメリカ人と日本人のハーフ。幼少時代を千葉県の館山で過ごし、高校からアメリカの公立高校へ入学。
大学時代に起業し、アメリカ本土、ハワイの不動産事業を展開。日本には電動立ち乗りスクーターのセグウェイを紹介し代理店を開設。
ロシア、上海、クロアチア、スリランカ、マカオ、コソボなど世界中で事業を起業し、なんと北極にもお寿司やさんを開設。
2008年から移り住んだ南太平洋のニウエでは、携帯電話をシステムごと寄贈し設置。首相の補佐官として活躍し、日本との国交を2015年に締結。
ニウエにおいてはソーラーパネル、電気自動車、道路補修、焼却炉等のハード面の開発を強力に推し進めると共に、映画祭やミスコンテスト開催などのソフト面でも多くの功績を残し、首相からはレジェンドと呼ばれることも。2020年にはコロナ禍において陸路と海路だけを使い、ほぼ世界一周を旅行し冒険家と言われた。
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