1年間に地球を35周する男・タイイチさんに聞いてみたVol.1

世界各国を常に飛び回るフォックス・タイイチさん。1年間の移動量は、なんと地球35周!(コロナ禍前の数字)。世界の国々の今をリアルタイムに目撃している彼が、サスタビからの質問に定期的に答えてくれることになりました! 第一回の今回は「タイイチさんってどんな人?」について聞いてみました。ちなみに今週は、シアトルにいらっしゃるそうです。

2021年は、地球2周“しか”できてない

サスタビ編集部:今日はお時間いただいてありがとうございます。今はどこにいるんですか?

タイイチさん:今はシアトルです。明日出ちゃうんですけど。

サスタビ編集部:今もたくさん移動されてるんですね。

タイイチさん:コロナで移動のペースは落ちましたけどね。今年はまだ地球2周しかできていませんから。

サスタビ編集部:いやいや、今年(の世界情勢のなか)で2周はすごいですよ。

タイイチさん:前は年間35周くらいしていましたから、それと比べちゃうとね。

サスタビ編集部:読者の方は、そんなに移動して何をしてるのって疑問を持たれるかと思います。どんなことをされているんですか?

タイイチさん:何やってるかと言われると困るんだけど(笑)、世界中でいろんな事業をしています。レストランをはじめ、不動産だったり、あとは政府のアドバイザーだったり……。ニウエという国があるんですけど、そこの国の首相にアドバイスするとか、インフラをつくるとか、そんなことをやっています。世界中をぐるぐる飛び回って、いろんな場所でいろんな仕事をつくるのが好きで。もう趣味というか、楽しみの一つですね。

サスタビ編集部:なるほど。いろいろ気になる言葉があったので一つひとつ伺いたいところではあるんですが、初回ということで大局観というか、タイイチさんご自身のことや、世界が今どんな状況なのかを広く浅く聞かせてください。

タイイチさん:はい、何でも聞いてください。

 

用がある場所に行って、2割の偶然を楽しむ

サスタビ編集部:まず、さきほどの地球35周について。これはどういう旅の仕方をされていたんですか? ほとんど毎日移動しているぐらいのペースですよね?

タイイチさん:僕ほど地に足がついてない男はあんまりいないと思っています(笑)。だいたいスケジュールだったかを日本を起点にして話して見ますね。まず日本を出たら、さっき話したニウエ島を目指します。この島は南太平洋にあるので、大抵はオーストラリアかニュージューランドを経由します。ニウエの次はヨーロッパ。長距離航路なので25,6時間かかりますかね。それでヨーロッパの各国を回った後は、そのときどきで行き先が変わります。トルコに行ったり、ロシアに行ったり、東欧に行くこともありますね。その後はまた日本に帰ってくるという流れですね。これをだいたい1ヶ月間くらいで周っていました。移動距離がだいたい地球3周分くらい。これを毎月繰り返していました。

サスタビ編集部:それぞれの国で何をするかは前もって決めているんですか? それとも、あまり決めずに気分で行動されるんですか?

タイイチさん:何をするかは、行く前に8割くらい決まっていますね。スケジュールは適当だけど。僕は用がある場所にしか行かないんです。仕事がある場所や、会いたい人がいる場所にしかいかない。これは昔っからそうで、だから同じような場所をずっとなぞってるんです。実は行ったことない国もけっこう多くて、南米なんか一カ国も行ったことないですから。

サスタビ編集部:やることは決まっているのに、スケジュールは決めていないんですね。

タイイチさん:おもしろいことって、突然起こるじゃないですか。友達からおいでよって誘われたり、街で偶然出会った人と仲良くなって一緒に行動したり。プランできないことが多いので、行きあたりばったりを楽しむようにしています。さっき、やることが8割決まっているっていったけど、2割はセレンディピティで、偶然の出来事や出会いの時間に使っています。

 

上向きはじめた旅行業界。完全回復は2025年?

サスタビ編集部:スケジュールはあまり決めないといことですが、コロナ以降、ふらっと移動しづらくなったんじゃないですか?

タイイチさん:そうですね。そもそも飛行機自体が飛んでいない期間もあったし、今も自国民以外は入れないっていう国もあります。入れる国も、隔離期間があったり、入国時の検査証明書が求められたりするので、さすがに僕もけっこうプランを練るようになりました。

サスタビ編集部:この状況はどれくらい続くと思いますか? 

タイイチさん:どうでしょうね。どこかのエコノミストは、世界の観光業がコロナ前の状況に戻るのは2025年だなんて言っていましたけど。特に影響が大きいのが出張で、ビジネストリップは今89%減だそうです。実際、僕の肌感でも空港や飛行機内でビジネスマンを見かけることはかなり少ないですね。

特に長距離路線ほど影響を受けていますね。今は少しずつ戻っているけれど、それも離れて暮らす家族に会うための渡航なんだろうなという印象で、仕事や観光って感じはしないですね。一方で、短距離路線はかなり回復していますよ。アメリカの国内線なんて、7~8割は乗ってるような感覚です。

サスタビ編集部:旅行以外の業界はいかがですか?

タイイチさん:国にもよるんですけど、今いるアメリカは全体的に経済が回復いていますね。デルタ株でまたマスクは付けはじめましたけど、経済自体は上向きですね。鬱憤が溜まっていた人がレストランに行くとか、モノを買うとかしはじめているのを実感しますね。それと同時に飲食店のスタッフにしろ、配送員にしろ、労働者不足が深刻です。人が足りないから人件費も上がって、それが価格にも跳ね返って、インフレが起こっていますね。報道されている数字以上に物価は上がっていますよ。

 

経済の在り方は、サステナブルに向かっている

サスタビ編集部:最後に、サスタビのテーマである「サステナブルな旅」関連のお話を少しだけ。長年、たくさんの旅をされてこられたなかで、人々のサステナブル意識って高まっていると感じますか? 

タイイチさん:感じますよ。特にヨーロッパはそうですね。ホテルを選ぶときに、設備やアメニティが少しでも環境負荷の少ない施設を選んだり、近距離の移動は飛行機を使わずに電車や電気自動車を利用したり。そういう選択がごく普通になってきています。

あとは、意識の問題じゃなく、衛生管理や経済合理性がサステナビリティにつながっている部分もありますね。小さい例なんですが、最近はホテルで連泊する場合、希望しないとシーツ交換に来ないんですよね。コロナでなるべく人に接触したくないっていう側面もあるし、単純にワーカーが足りないっていう側面もあると思うんだけど、結果的に環境への不可が小さくなりますよね。そういうことがどんどん起こっていくんじゃないでしょうか?

サスタビ編集部:今日はいろいろお話いただきありがとうございました。次はどちらへ行かれるんですか?

タイイチさん:米国内でデンバーに移動して、その後は中東のバーレーンに行きます。その後はトルコに行って、最後にカザフスタンに行って、11月の1週目か2週目に日本に帰る予定です。

サスタビ編集部:大移動ですね! お気をつけて!

 

<プロフィール>

Taiichi Fox, 和田泰一

アメリカ人と日本人のハーフ。幼少時代を千葉県の館山で過ごし、高校からアメリカの公立高校へ入学。
大学時代に起業し、アメリカ本土、ハワイの不動産事業を展開。日本には電動立ち乗りスクーターのセグウェイを紹介し代理店を開設。

ロシア、上海、クロアチア、スリランカ、マカオ、コソボなど世界中で事業を起業し、なんと北極にもお寿司やさんを開設。

2008年から移り住んだ南太平洋のニウエでは、携帯電話をシステムごと寄贈し設置。首相の補佐官として活躍し、日本との国交を2015年に締結。

ニウエにおいてはソーラーパネル、電気自動車、道路補修、焼却炉等のハード面の開発を強力に推し進めると共に、映画祭やミスコンテスト開催などのソフト面でも多くの功績を残し、首相からはレジェンドと呼ばれることも。2020年にはコロナ禍において陸路と海路だけを使い、ほぼ世界一周を旅行し冒険家と言われた。

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