サスタビでは、変わっていく旅の在り方を紹介するため、ユニークな旅のサービスの運営者にお話をうかがっていきます。今回インタビューさせていただいたのは、お手伝いと旅を掛け合わせたサステナブルな旅を作るサービス「おてつたび」創業者の永岡里菜さん(以下永岡)。地域の方々の“おてつだい”と“旅”を通じてファンを創出する「おてつたび」運営の想いや立ち上げのきっかけ、今後の展望を前編・後編に分けてお伝えします。
「どこ、そこ?」と聞かれる地域に人が訪れる仕組みを作る
ーー 「おてつたび」を始めたきっかけは何ですか?
永岡)私は三重県尾鷲市(おわせし)の出身なんですが、よく「どこ、そこ?」って聞かれるんです。しかし、こういった有名でない地域にもたくさんの魅力があることを、前職でいろんな地域を訪れるなかで知りました。こういった経験から、あまり知られてない地域にどうやったら人が行く仕組みを作れるかを考え始めたことが、「おてつたび」を始めたきっかけです。
ーー 「おてつたび」の構想はどのように作られたのでしょうか?
永岡)人が訪れる仕組みや地域の課題解決方法を見つけるために、日本各地に足を運び、地域の方へのヒアリングや検証をしつつ、実際の参加者の声を聞きながら、最終的に今の「おてつたび」のアイデアに行きつきました。
ーー「おてつたび」立ち上げ期の周囲の反応はいかがでしたか?
永岡)立ち上げ当初は、“旅行=娯楽”という認識が強かったため、旅行するのになぜ地域で仕事しなきゃいけないんだ?と、「おてつたび」のコンセプトに共感いただけないこともありました。働き方や地域との関わり方など、今ほど多様性は認められていなかったと思います。
しかし私自身が欲しいと思っていたサービスだったので、需要は必ずある!という根拠のない自信はあったんです。そのため、まずはテストマーケティングをし、どれだけ興味を持ってもらえるのかを試すところからスタートしました。
お客様だけではない“人と人との関わり”を新たに紡ぐ
ーー 目の付け所が良いですね。昔から、農家や果樹園のアルバイト等の仕事はありましたが、それらをシステマティックに事業化したのは素晴らしいと思います。
永岡)地域の方に「新しいようで古い旅でもあるよね」と言っていただけるのが、すごく好きでして。
昔は、スキー場で働きながら空き時間にスキーをしたり、サークル内で代々引き継がれている地域のアルバイトに参加したり、常連さんのお子さんが大きくなってからお店を手伝いに行ったり…。そんな“お客様だけではない人と人との関わり”を、「おてつたび」は新たに紡いでいるサービスだよね、という声をいただきます。
今の子達はスマートフォンと通じてコミュニケーションを取るのが当たり前になっているので、現代版にアレンジしながら、人と人が繋がりやすいハブになれたらと思ってます。
地域のありのままの姿を知った上で、仲間になって帰ってきてほしい
ーー 今回のテーマのサステナブルな旅において、人と人とが繋がってご縁ができるということは大切だと思います。お金をもらい、なおかつ楽しんで、現地の人と繋がる「おてつたび」は素晴らしいですね。一回きりではない、もう一度旅できる場所となる、まさにサステナブルだと思います。そんな「おてつたび」に参加される方には、どのようなことを期待していますか?
永岡)「おてつたび」を通じて普段出会わない人と話すことで、価値観の広がりや「日本にはこんなにも刺激がたくさんあるんだ」というのに気付いて帰って来てほしいですね。地域の現状などありのままを見てきてほしいなと思います。
メディア等で少子高齢化の問題などが頻繁に取り上げられていますが、「おてつたび」で平均年齢60歳くらいの職場に訪れ、少子高齢化の現実を目の当たりにし、差し迫ってる課題感を認識したという話は、「おてつたび」に参加された方からよく聞きます。
また、農家さんのお手伝いを一日手伝ったら体がバキバキでしんどかったけれど、隣の70代の方は元気だったなどの話も聞きますね。
「おてつたび」を通じて、地域の美しいところだけではなく農業の大変さも両方知って、好きになって帰ってきてもらえると嬉しいです。
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