食とサステナブルに向き合うために知っておきたい基礎知識#サステナブルと食

観光/旅における食

美味しい食を味わうことは、旅/観光のひとつの醍醐味ですよね。地産の食材やお酒を求めて地域に旅立つ人も多い事でしょう。今回の記事では、「食」に注目して、サステナブルな旅との関係を考えてみたいと思います。

知っているようで知らなかったような、「食×サステナブル」をめぐる基礎知識について今回はご紹介します。

グローバル化と食の多様性

こんにち、ライフスタイルや人生の価値観はひじょうに多様化していると言ってよいでしょう。そしてライフスタイルや価値観と最も深く結びついているもののひとつが「食」です。

何を食べるか。どのように食べるか。どこで、誰と……。そうしたことの一つひとつに、人の考えや思い、イズム(主義)があらわれますね。

その多様化は世界的に進んでいるといえます。そして、国際観光が発展していくにともない、食をめぐる様々な考えや習慣を持つ人びとが国境を越えて訪れてきています。したがって、食をめぐる多様なニーズにいかに対応していくかという課題が、観光、とくに飲食業界を中心に重要なものとなってきているのです。旅/観光と食は切っても切れないほど、深く結びついています。

サステナビリティと食

サステナビリティと食も密接に関連しています。「トレーサビリティ」「フードロス削減」「過剰包装や輸送コストの削減」「フェアトレード/食品の生産者の持続可能な生活」など、さまざまなキーワードがあります。

トレーサビリティ

トレーサビリティは、日本語にそのまま訳すると「追跡可能性」です。この概念は自動車や電子機器、医薬品など多様な分野で重要視されてきていますが、なかでもとくに食のトレーサビリティを考えることの大切さが注目されてきています。

スーパーにならぶ魚の切り身や、豚肉、卵。それらがどのように生産され、切り身などへと加工・パック詰めされ、どのような方法・ルートでスーパーに運ばれているのか。トレーサビリティは、そうした食の一連のプロセスを「見える化」するための合言葉です。

なおトレーサビリティの「視野」は、実はもっと広いといえます。ブタやウシがどのように育てられているのか(どのような餌を食べているのか/どのような環境で生育されているのか等)、彼らが食べる餌となる穀物はどのように生産されているのか、ブタやウシがどのように「屠殺」(食肉にするために殺すこと)されているのか。また、スーパーに売れ残った食品が、最終的にどこに運ばれ、どのように「処分/廃棄」されているのか。畜産や漁業をしている人びとはどのような働き方や暮らしをしているのか……そうした、私たちが普段はなかなか考えることのないプロセスも含まれているのです。

「食」のプロセスは、ひじょうに長いことがわかりますね。同時に、私たちが日常において関与するのは、食をめぐる長いプロセスのごく一部であることも見えてきます。普段の私たちにとって食とはおよそ、パックに詰められスーパーに並べられた肉の切り身の姿であり、そして家庭で調理され食べられたり、あるいは生ゴミとして廃棄されたりする姿に限定されています。

食が「生育・生産されるプロセス」、産地からスーパーなどへと「運ばれるプロセス」、そしてそれらがお店や私たちの家庭で「捨てられるプロセス」。大きく分けてこの3つのプロセスがありそうですが(細かく見れば、さらに幅がありますが)、そのそれぞれでサステナビリティに配慮した方法がなされているかを考えることが大切になってきますね。

食肉産業の側や流通産業の側が、自らのプロセスを開示すること(=トレーサビリティを高めること)、同時に、消費者である私たち自身が、トレーサビリティに意識的になること。この2つの方向が同時に進むことで、サステナビリティと食の問題は前進していくのだと考えられます。

この「食のトレーサビリティ」と私たちの想像力の問題については、別の記事で詳しく考えてみたいと思います。

フードロスの削減

今見てきたように、食のトレーサビリティについて考えることは、同時に、食品の廃棄を考えることでもありました。フードロスとは、余った食材や、傷みなどの理由で使用できなくなった食材を指しています。また、食品を加工する際に使う消耗品や、食材を詰めるパックやラップ、プラスチックなども含まれています。

フードロスの削減は、私たちにも手軽に実践できるものだと思います。外食時には食べきれる量を注文する、購入した食材を使い切る、すぐに使う食材であれば賞味期限の近い商品をスーパーで購入するなど。ほんの少しの心がけで実践できそうですね。

また旅や観光の際には、地産地消を心掛けることがフードロス削減への貢献になります。食品の輸送コストも削減できますし、輸送のあいだに食品が傷んでしまうことも避けられますね。また、地域内での生産・加工の過程を学ぶこともでき、したがってトレーサビリティの向上にも地産地消は結びついているといえるでしょう。旅の際は、地産地消に積極的に取り組んでいきたいですね。

食品産業全体としては、もう少し構造的・抜本的な取り組みが求められるかもしれません。生産量の調整、加工時の過剰包装の削減、輸送コストの削減や地産地消の取り組みの推進など、官民・地域全体での連携が必要です。生産・加工・流通・販売の各過程において、「フードバンク」の活用を増やしていくことも必要だと思われます(フードバンクとは、「規格外品」や、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食材・食品を、福祉施設等へと無償で提供する活動や、それに関わる団体のこと)。

フェアトレード

食の持続可能性を考える時、もうひとつ大切なのは「生産者の生活の持続可能性」にも意識を傾けることです。生産者なくして、食は成り立ちません。

フェアトレードとは、生産者の生活と生産活動に対する支援・応援となるかたちで、彼らの生産物を適正な価格において(可能な場合は生産者から直接)購入することを指します。フェアトレードでは、生産者をはじめとして、貿易に関わるすべての人や地球に対して「公正」であることや、その中でも特に立場の弱い開発途上国の生産者に対して公正な貿易であることが目指され、最終的にはフェアトレードを通じて貧困のない公正な社会を実現することが目指されます。背景には、先進国による、いわゆる「開発途上国」の生産物に対するアンフェアな貿易取引の歴史が存在します。過酷な労働条件のもとで働き、しかし生産した食品は安価に買い叩かれる(それでも生活のために生産活動を継続せざるを得ない)といった状況を改善するために始まりました。

フェアトレード商品には、コーヒーや紅茶、バナナといった食品・嗜好品や、衣服やバッグ、織物などの手工芸品などがあります。そして、フェアトレード商品には「認証ラベル」が付されており、購入する際にフェアトレード商品であるかどうかを見分けることができるようになっています。

フェアトレードをめぐって、しばしば忘れられがちなのが、フェアトレード商品を「継続的に購入すること」の重要性です。まずは「フェアトレード商品を買ってみる」ことが大切ですが、継続的にその商品を購入することも生産者への応援においては大切なのです。

まずはフェアトレード商品をいくつか試してみて、そこで「お気に入り」を見つけられたら良いですね。フェアトレード商品は、特定の地域や特定の生産者の生産物なので、そのフェアトレード商品を通じて地域への愛着のような意識も醸成されていくことが期待できます。

フェアトレード商品で気になったもの、美味しかったもの、「お気に入り」が見つかったら、実際にその場所に旅に出てみるなんてことも良いのではないでしょうか。それもサステナブルな旅のひとつのあり方なのではないかと思います。

「食」×「サステナブル」には多様な視点がまだまだある。

今回の記事では、食×サステナブルを考えるにあたって「トレーサビリティ」「フードロス」「フェアトレード」という3つのキーワードをご紹介しました。しかし、食とサステナビリティに関係するキーワードは他にもまだまだ存在します。

例えば「エコラベル」「サステナブル・フード」「プラントベースフード」「アニマルウェルフェア」などたくさんあります。記事でもご紹介していきますが、関心のある方はぜひ検索してみてください!

またサスタビでも食に関連した記事を紹介しています。ぜひ以下もチェックしてくださいね!

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