国際学部 国際地域学科の鈴木ゼミ(地域社会学)では、スローシティ運動(イタリア発祥の持続可能なまちづくり)を研究テーマとしています。
私たちのゼミでは、スローシティ前橋・赤城の前橋市富士見町をフィールドとして、様々な活動やフィールドワークを行ってきました。これまでの活動報告や学びや発見を地域の人たちと共有するために、2024年7月6日、前橋市富士見町にあるコミュニティセンター「石井ハウス」にて、「富士見町をスローで見てみる会」を開催いたしました。本イベントは鈴木ゼミ4年石井ハウスチームが中心となり準備を進めてきました。
このイベントで私たちは、富士見町で見つけた歴史や魅力を「種」と表現し、石井ハウスでの土壌づくり(石井ハウスの整備)から始まり、種①「石井ハウスから1キロメートル以内の歴史と魅力」、種②「道の駅まえばし赤城のE-bikeを借りて見つけた温かさ」を紹介しました。
地域にある文化財の価値に気づいてもらうことや、地域の方々にスローシティについて知ってもらうことは、「スロー」に繋がります。
イベント当日は猛暑となり不安もありましたが、いつもご協力くださっている地元住民の品川さんの声かけもあり、9名の参加者が来場してくださいました。
昔の写真を紹介しながら、地域の人たちと一緒に富士見町の歴史や魅力を振り返ることができました。また、地域の方々から、昭和22年に起きたカスリーン台風の被害の大きさなど、当時の貴重なお話もお聞きしました。富士見郷土史研究会の木暮さんによると、カスリーン台風の影響で群馬県全体では約600名、そのうち富士見地区だけで104名の方々が亡くなられたそうです。「妹が流されていたけど助けるすべがなく、見ているしかできなかった」というお話を聞いたことがある方が参加者の中にはいらっしゃいました。文献を読むだけでは分からない当時の被害の大きさを知り、とても衝撃的でした。
さらに意見交換会の中では、私たちが作成している「スロー体験マップ」も紹介し、貴重なご意見をいただきました。これから完成に向けて改善していきたいと思います。
今回のイベントでは、「スロー」についても様々な意見が挙がりました。「冷蔵庫を使わずに届く範囲で、新鮮なものをおいしい状態で食べてもらうこと」「日常の中に溶け込んでいる昔ながらの文化や習慣」「地域住民同士の日常的な交流」
改めて、色々な「スロー」の形があると考えさせられましたし、少し工夫したり考え方を変えたりするだけで、私たちの日常にも「スロー」を実践できると思いました。
意見交換会を含め2時間程でしたが、私たちにとっても、地域の方々にとっても貴重な時間となったのではないでしょうか。猛暑の中参加してくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
これまでのフィールドワークで石井ハウスの利用をお許しいただくなど様々な場面でご協力いただいた石井ハウスオーナーで株式会社ピーストラベルジャパンの行方一正さん、地域で古民家宿をてがける株式会社LOOOFのスタッフの皆さん、イベント告知や設営の際にご協力くださった前橋赤城マイマイの会で富士見町出身の品川さん、貴重なお話を教えていただいた富士見郷土史研究会の木暮さん、そしてゼミの時間外問わずご指導くださった鈴木先生、皆さんに心より感謝いたします。
これからも地域貢献やゼミ活動を通し、皆さんに恩返しができるよう精一杯努めて参りたいと思います。
このイベントは、東洋大学地域活性化支援事業「東洋スローシティ」の支援金を受けて実施しました。ありがとうございました。
国際学部国際地域学科3年白澤日和、鈴木鉄忠教授
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