観光は様々な問題をはらんでいますが、特に地域の方を悩ませているのがゴミ問題です。 旅人が持ち込んだゴミの処理費用が自治体にとって大きな負担になるため、ゴミ箱が撤去される観光スポットが増えています。 そのため、旅人はゴミを処理できず宿に帰るまで持ち歩き続けなければならなくなったり、ポイ捨てが増えて景観や衛生面でも問題を引き起こしました。 今回の特集では、このような現状をうけ、「旅とゴミ」について考えていきます。 |
第一弾:「サステナブルな旅と「ごみ」の深いかかわりを知ろう」
観光地のごみ問題
近年訪日観光客の増加で注目が集まる、観光客が観光地のキャパシティを超えることで引き起こされるオーバーツーリズム。オーバーツーリズムにより引き起こされる観光公害のひとつに、深刻なごみ問題が挙げられます。
GWや各種イベント時期など、特に繁忙期の観光客の増加による飲食物や使い捨てプラスチックなどに代表されるごみが大量に発生する現状が、国内外を問わず散見されるのです。これは単に個人のマナーだけではなく、ごみ収集のインフラが追いついていないなどシステムの課題も含むものです。
そして、放置されたごみ、特にプラスチック類は簡単には自然界で分解されないため景観やわたしたち人間も含む生物多様性に大きな悪影響を及ぼす存在となります。また、観光地はテーマパークではなく地域の人々が暮らしていることも忘れないように心がけたいですね。
ごみをポイ捨てしてしまう人がいる一方、そのような現状に心を痛める人々も多いはず。ごみ問題は観光業界や行政など、さまざまなステークホルダーが連携して取り組むことが解決には不可欠となりますが、ひとりの旅人としてアクションを起こすこともまた大きな力へとつながります!ここからは、個人が旅先で取り組める、参加型のごみ拾いの実例を紹介していきます。
グリーンバード

出典:https://www.facebook.com/photo/?fbid=976200027883658&set=pb.100064810083567.-2207520000
「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに誕生したNPO法人グリーンバード。だれでも気軽に参加できるクリーンアップ活動を国内外80チーム、年間3万人規模の参加者で行う団体です。
全国各地の街や川、海から集まったプラスチックを原料としたおしゃれなコースターの販売や、海の環境問題を学ぶ子ども向けのイベント開催などごみ拾いを起点としさまざまな活動を展開中。全国で定期的に開催されているので、旅のスケジュールとも合わせやすいですし手ぶらで参加OKな点も旅人におすすめの団体です!
ビーチクリーン
「海のごみの約8割が街由来」であることをご存じでしょうか。2050年には魚よりプラスチックの数が多くなると言われている今、ビーチクリーンアップへの関心を持つ人も増えています。
旅先でビーチクリーンに参加するための方法は次のように複数ありますので、自身にあった方法を検討してみましょう。
プラットフォームや地域で活動する団体のHPから探す
全国各地で実施されているビーチクリーン情報がまとめて掲載されているサイトより、旅先の地域の情報を探してみましょう。おすすめは「日本財団 海と日本プロジェクト」や「BLUE SHIP」です。
どちらも日程や地域別に検索することができ、使い勝手が良いことが特徴!
ビーチクリーンメニューや設備がある宿泊先を選ぶ
アクティビティの一環としてビーチクリーンを提供しているホテルや宿を選択肢に入れることも検討してみましょう!例えば茨城県大洗町のグランピング施設「Sugar Beach Oarai」では施設利用者がいつでも使えるビーチクリーン用具の貸し出しを行っているそう。
他には八重山諸島の黒島の民宿「しま宿 南来(なんくる)」のビーチクリーン付き宿泊プランがなど、目的地+ビーチクリーンがセットになっている宿泊先を探してみてはいかがでしょうか。
リバークリーン
河川のごみ拾いを行う「リバークリーン」は、街中のごみ拾いと比べると少しハードルが高く感じるかもしれません。サスタビでも以前訪問した「多摩川リバーラフティング」が行うラフティングとリバークリーンを組み合わせたプログラムでは、川のゴミや御岳渓谷の自然についてガイドさんから学びながら体験ができる他、横浜SUP倶楽部が毎月主催するリバークリーンでは、ボートで横浜の河を楽しみながら清掃活動が行われています。

プロギング
アクティブ派の人には、「プロギング」がおすすめです。スウェーデン発祥のSDGsスポーツで。ジョギング×ごみ拾いを組み合わせたプロギングはエクササイズやストレス解消にもつながるそう。
「ポジティブな力で足元から世界を変える」を掲げるプロギングジャパンでは、全国各地でプロギングや関連イベントを開催していますよ!
旅をしながら美化活動に留まらないごみ拾いの魅力を体験しよう
「環境のため」のボランティア活動としてのイメージが根強いゴミ拾いですが、近年はアクティビティやコミュニティ形成の場となるなど、「楽しみながら地域のエコツーリズムに貢献する」存在へと進化しています。ワーケーションや家族旅行など、シーンに合わせて旅にごみ拾いへの参加をプラスしてみてはいかがでしょうか。




フリーのライター/エシカル・コンシェルジュ。学生時代、100本以上のドキュメンタリー映画を通し世界各国の社会問題を知る。事務職を経て独立後、ソーシャルグッドに関連する記事を執筆。都会暮らしからはじめるエシカルな暮らしを実践中。
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