オーバーツーリズムを解消するために必要なことは、自分にあった新しい旅の仕方を考えること

オーバーツーリズムの現状

最近、観光において問題となっているのがオーバーツーリズムです。これは特定の場所に観光客が一気に訪れ、地域の生活や環境にネガティブな影響をもたらすことを指しています。日本の有名な観光地でも、オーバーツーリズムは大きな問題です。

先日、埼玉県にある川越を訪問しました。平日で雨が降っていたのですが、外国人を含めた観光客が多く、ものすごい人だかりでした。メイン通りにはレストランや土産物店が軒を連ねていますが、そこは地域の方の生活道路でもあります。もちろん、一般車両がたくさん通っていて、歩行するには少し危ない場面もありました。とはいえ、歩行者天国にしてしまっては、川越で暮らす方の生活が成り立ちません。

一方で、コロナ禍を経てポジティブな変化も見られました。以前は全国チェーンの店舗がずらりと並んでいた町並みが変わり、、地元の方が運営するお店が増えたのです。また、観光客のモラル向上によりポイ捨てされたごみもほとんど見られませんでした。

オーバーツーリズムは、旅人に「来るな」ということが解決策ではありません。一定のキャパシティを超えて地域の生活に害を与えることが問題なのであり、単に観光しているだけであれば、新しい交流や経済の活性化など、よい影響もたくさんあります。

特に観光地では外からやってくる方の使うお金が収益となっている方も多いので、観光客に来てもらわなくてはビジネスになりません。

オーバーツーリズムを避けるために必要なこと

オーバーツーリズムにならない程度に、適切な量の観光客が訪れることが必要です。具体的には、どうすればよいのでしょうか。特定の施設やエリアであれば、入場制限をかけることが一手です。しかし川越や浅草のような町の場合、区切られているわけではないため制限はかけられません。

観光の中心地や特に人気のスポットで、入場料を取るのも一つの手段です。しかし、そういった動きが行き過ぎると、「旅は富裕層だけのもの」になってしまいます。また、バスや電車などのインフラは観光客よりも地元の方を優先する仕組みを作った事例もあります。例として、神奈川県鎌倉市では、市内を走る江ノ島電鉄は地元住民を優先しました。

混みすぎて「駅入場は地元民優先」江ノ電が4年ぶり実施へ「観光客のせいで乗れない」緩和図る

しかし、何より求められているのは、観光客がルールやモラルを守ることではないでしょうか。地域から「こういう楽しみ方をしてください」「今、ここは混んでるので別の場所で楽しんでください」といったメッセージを出し、それを守ってもらうことで、地元の方も観光客もスムーズに生活・旅行ができます。

新しい旅の方法を考える

オーバーツーリズムを解消するためには、2つの方向性があるのではないでしょうか。1つ目が、マスツーリズムをサステナブル化することです。これは旅行会社がプロモーションしていく必要があります。サステナビリティに配慮したレストランや土産物店、宿泊施設を訪問するなど、ちょっとした工夫を重ねることで変化が生まれます。また、有名観光地を訪れる場合でも、人が集中する時間を割けて混雑を作り出さない配慮も重要です。

2つ目が、個人旅行のサステナブル化です。団体旅行のような作られた旅をしない方は、自分の趣味や興味のある場所を訪れます。彼らは訪れるスポットが「観光地かどうか」はさほど気にせず、自分が楽しめるかどうかという基準を持っています。そのため、よりオーバーツーリズムで困っている地域を外した場所に訪れやすいです。こういった方もいわゆる観光地を訪れることはあるので、例えば混雑状況をリアルタイムで発信し、人が多い時間はさけてもらうなどの工夫ができます。

 

サスタビでは、個人で旅を楽しむ方々に、どのようにサステナブルな旅をしてもらうかを模索しています。これは旅の在り方を考えることであり、こういった方々のニーズを模索中です。

すでに、ニッチな需要を満たすサービスは増えています。有名どころを回るツアーではなく、漁業体験や農業体験、昆虫採集ツアー、郷土料理作り体験、地元の方による街歩きツアーなど、地域の文化や特性に合わせたプランを提供している旅行会社は少なくありません。こういった楽しみ方をする人が増えることで、適切な分散が進むでしょう。

私たちは、こういった背景の中で、新しい旅の方法を提案していきたいと考えています。一人ひとりのライフスタイルや関心に沿って、自分にあった旅を企画できると、とても楽しいものです。みなさんも、次の旅行の際にはぜひ「自分が本当にしたい旅は、どんな旅だろう」と考えてみてください。

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