伝統工芸品を通じて地域文化と出会う旅。佐賀県伊万里市で「秘窯の里」を訪れる 

今回、サスタビ20か条の一つ「16 伝統工芸品を応援しよう」を実践する旅をしてみました。日本にはたくさんの伝統工芸品があり、現地で購入することでこれらを継承する方々の支援につながります。ということで、今回は「伊万里焼」で有名な佐賀県伊万里市を訪れ伊万里焼を通じて街を知るレポートです。

旅前に訪れる街を知る

突然旅をするのもよいですが、もし計画を立てる時間があるなら事前に旅先について学んでおくとより有意義な時間を過ごせます。今回は伊万里の伝統工芸品である伊万里焼について、自分で調べてみました。

伊万里焼は、佐賀県伊万里市で作られている陶磁器。隣の町で作られる有田焼と、ほぼ同じものを指すそうです。有田で焼かれたものも、伊万里で焼かれたものも、伊万里港から出荷されていたことから同一と扱われていました。

絵付けが鮮やかで美しく、とても繊細なデザインが施されています。使われるのは、陶石という石から作られた磁器土。形を作ったら釉薬をかけ、1,300度の高温で17時間以上かけて焼きます。

その歴史は江戸時代までさかのぼり、1640年代には国内の磁器市場を独占していたそう。現在も人気が高く、最近はモダンなデザインのものも登場しています。

伝統工芸品が生活に馴染む伊万里市中心部

しっかりと事前に勉強をし、いざ伊万里へ。

画像:伊万里市観光協会
引用:あそぼーさが「伊万里市観光協会」

駅には伊万里市観光協会があります。市内の観光スポットや有田エリアへの案内など、旅に役立つ情報が満載。まずは、こちらに立ち寄ってみるのがおすすめ。駅から市内を歩いていると、橋にこんなオブジェクトが。相生橋、延命橋、幸橋という3つの橋には、それぞれ縁起物が飾られています。

夫婦・恋人で渡ると仲睦まじくなると言われる相生橋。川岸に2本の松が夫婦松のように仲良く並んでいたことからその名がついたようです。
健康を祈願しながら渡ると長生きをすると言われる延命橋。この橋のそばにある「延命地蔵」にちなんでこの名が付けられました。
三つの橋の最後に渡ると幸せになると言われる幸橋。夫婦や恋人が終生仲睦まじく長生きし、幸せになると言われていることから『幸橋』と呼ばれています。
引用:あそぼーさが「幸を呼ぶ3つの縁起物」

どれもきれいな状態でした。また、市内の温泉施設に行くとこんな柱を発見。

埋め込まれているのは、伊万里焼のかけら。伝統工芸品が街に馴染む風景を楽しめます。

秘窯の里と呼ばれる大川内山

伊万里市駅からバスで15分ほど南へ行くと、大川内山というエリアにたどり着きます。ここは秘窯の里と呼ばれており、約30の窯元があります。

バスが到着するのは、伊万里鍋島焼会館近くのバス停。この会館は、大川内山エリア散策の起点にもなる場所です。

施設内には伊万里焼についての説明が書かれたパネルがあります。エリアマップも設置されており、まさに大川内山の玄関口といった様子。

会館を出てすぐに見えてくるのが、鍋島藩窯橋。

磁器タイルや白磁の壺で装飾されていて、とても美しいです。今回は真冬の訪問ですが、夏になると地元の子供たちが川遊びをするとのことでした。

道を進むと風情のある窯元やカフェがずらり。歩いているだけでも楽しい気分になります。

大川内は江戸時代、佐賀藩鍋島家の「御用窯」が置かれ、朝廷や将軍家に献上する焼き物を作っていたそう。この高級品は鍋島焼と呼ばれ、今でも他の伊万里焼とは一線を画す存在です。

街の方に話を聞いても、「鍋島焼は別格」とのことでした。どなたも鍋島焼には誇りを感じている様子で、伊万里の存在がシビックプライドに直結しているのだなと感じます。

伊万里焼の歴史についても、街の方が教えてくれました。江戸時代の伊万里焼は海を渡り、ヨーロッパの王侯貴族の間で人気を博しました。オランダの東インド会社が大量に注文し、西洋で販売をしていたのです。

そのため、今でも宮殿や邸宅には伊万里焼があるというケースもあるそう。あの有名なマイセンも、伊万里焼の影響を受けていると言われています。伝統工芸品の中には、ただ歴史があるというだけで今もなんとか続いているというものがあるのも事実。しかし、伊万里焼は現代でも人気が高いです。

お店の方にお話を伺ったところ、毎年に行われる有田陶器市の間は大川内山にも多くの方が訪れるとのこと。「人がごった返して、ゆっくり見れないくらい」とおっしゃっていました。

いちご狩りで伊万里の地元の味を楽しむ

旅先を知るためには、食という切り口もポイントです。伊万里には伊万里牛や車エビなどがありますが、地元の方に聞いたところフルーツが有名とのこと。

一番有名なのは梨ですが、どのシーズンでもフルーツを楽しめる街だそうです。「今の時期は何がよいですか?」と聞くと、いちごがおいしいとのことだったので、いちご狩りにやってきました。

訪れたのは、いまりいちごの里。株式会社LC FARMの運営する農園で、様々な種類のいちごを楽しめます。

このように表記があるので、自分好みのいちごを探すのも簡単です。

その日に食べられるいちごについての解説もあります。「さがほのか」は地元を代表する品種です。

伝統工芸品だけでなく、地元の味も楽しめる旅となりました

伝統工芸品の購入を通じて文化継承に寄与する

最後に、初めて訪れる方にアドバイス。伊万里駅があり電車で行くこともできますが、自動改札機はありません。うっかりICで入ってしまうと、伊万里駅で現金精算をし、自動改札機がある駅まで行って入場取り消しの手続きが必要になります。

市内を走るバスは、現金での支払いになります。小銭が必要になるので、事前に両替しておきましょう。

伊万里市に飲食店はいくつもありますが、遅くまで営業しているお店はほとんどありません。現地ならではの食事をしたい方は、お店の営業時間を調べていきましょう。とはいえ、駅前にコンビニがあるのでうっかりしていても「夕食抜き」にはなりません。

ということで、今回は伊万里焼を求めて伊万里市を訪れました。足を運ぶ前は「伊万里焼はきれいな絵付けのものが多いな」といった程度の印象でしたが、現地に行くと色々なことを学べます。

窯元で購入することで、伊万里の伝統工芸文化をわずかながらサポートすることもできました。単に消費するだけでなく、街に根付く文化に貢献するのも、サスタビの形の一つ。ぜひ、あなたのお気に入りの伝統工芸品が作られている街を訪れてみてください。

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