サスタビでは、変わっていく旅の在り方を紹介するため、ユニークな旅のサービスの運営者にお話をうかがっていきます。
今回インタビューさせていただいたのは、お手伝いと旅を掛け合わせたサステイナブルな旅を作るサービス「おてつたび」創業者の永岡里菜さん(以下永岡)。
地域の方々の“おてつだい”と“旅”を通じてファンを創出する「おてつたび」運営の想いや立ち上げのきっかけ、今後の展望を前編・後編に分けてお伝えします。
▼前編はこちら
ウィズコロナ時代で変わりつつある旅の価値とは
ーー コロナで社会が大きく変化するなかで、旅のあり方というのはどんな風に変わってきていると思いますか?
永岡)二つあると思っています。
一つ目は旅行自体の価値の変化です。
旅先を決めるにあたって、昔は人から直接話を聞いて、行ってみたい!となることが多かったかと思います。しかし、今はインターネットやスマートフォン、VRが流通し、離れた場所にいても現地の情報を知れたり、擬似体験できるようになりました。
そのなかで、“その地域でしか経験できないもの”への価値が高まっているように思います。
例えば、人との交流を通じて地域の魅力を知ることであったり、旅先で自分の視野や視座が広がるなど、そういった価値観にどんどん変わっていくっていうのは一つあるように思います。
二つ目は、地域や社会貢献への関心の変化です。
学生などの若い世代と話していて、特に都心を中心に自己肯定感が下がっている人が多いように感じています。ウィズコロナ時代のなかで、社会の一員としてどう生きるかが強く問われるようになり、社会貢献や地域貢献を通じて自己肯定感が上がることへのニーズは高まっていると思います。
これら「旅行自体の価値の変化」と「地域や社会貢献への関心の変化」は、密接に絡み合っているように思います。
地域のファンや応援団となることで、根本からの問題解決を
ーー コロナになって、社会の中の一員として「どう生きていくか」が強く問われるようになり、社会貢献や社会に影響するようなことに人々の関心が向いているように思います。そういった時代の流れの中で「おてつたび」は刺さりそうですね。 ちなみに、現地の事業者の方はどのような理由で「おてつたび」を利用されるのでしょうか?単に便利だからなのか、それ以外の理由はあるのでしょうか?
永岡)サービスコンセプトへの共感は大前提ではありますが、人手不足を解決して欲しいという想いが皆さんから感じられますね。また人手不足を通じて、自分の産業や地域を知って欲しいというニーズも強いです。
「おてつたび」で地域に訪れる人は、事業者にとっての消費者でもあるんですよね。お手伝いを通して、自分にとって思い入れのある場所になることで、家に帰ってからもお客さんとして友だちや家族と再び訪れたり、周囲の人に薦めたりといったこともあります。
(引用:@bateau_a_tartes(掲載許可承諾済み))
このように「おてつたび」では、短期的な人手不足だけではなくて地域のファンや応援団を作るきっかけになれたらと思います。
“お手伝い”をきっかけに新しい取り組みが生まれることも
ーー お手伝いの方と事業者が親しくなり、そこから新しい取り組みが始まったりということは今までありましたか?
永岡)ありますね。
例えば、和歌山県由良町「数見農園」で、みかん収穫のお手伝いに参加された女子大学生が、東京へと戻っていった後、アルバイト先のカフェで由良町のみかんを紹介。実施に商品化されました。
このように地域と関わっていく中で、余白を見つけて入り込んでいく人は多い印象です。
ーー 「おてつたび」は旅行ついでにお金をもらえるサービスだと認識されることもあるかと思いますが、最終的にはファンになり人間関係が繋がっていくという仕組みは素晴らしいなと思います。世の中にはさまざまなマッチングビジネスがありますが、それとはまた違う新しいやり方ですね。
永岡)例えばクラウドファンディングはお金を集めることも目的ですが、本質的なものはファン作りだと思っています。そういった意味では、「おてつたび」も人手不足というところの解消が前提ではあるんですが、最終的にはファンや応援団を作っていくことが本質的な狙いです。
ーー 人との繋がりの中で新しい広がりができたり、今後さらに新しいことも起こりそうですね。
永岡)「おてつたび」は「出会い」を創出していますが、出会いを通じて新たな取り組みが生まれるというのは、お手伝いの一つの可能性だと思っています。今後も日本各地に人が来るような仕組みを作っていきたいです。
▼インタビュイープロフィール
永岡 里菜
株式会社 おてつたび 代表取締役CEO
https://otetsutabi.com/
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