サスタビを知る「サステナブルな旅って、なに?」―そんな素朴な疑問について、さまざまな視点から考えます。

「かっこいい旅人」になるために【後編】:「旅シェア」のススメ

「かっこいい旅人」になるために【後編】:「旅シェア」のススメ

シリーズ「かっこいい旅人になるために」ではここまで、旅を通じてサステナブルな社会を実現させる「かっこいい旅人」になるために必要な心構えや理念的な事柄について紹介してきました。最終話にあたるこの【後編】では、サステナブルな旅を具体的な形にしていくための第一歩として取り組むべき、旅シェアについてご紹介します。前回の中編はこちら

根源的なシェア

「シェア」は、こんにち様々に注目され、かつ馴染み深い言葉となっていますね。このシェアという言葉は、サステナブルな社会の実現のためにきわめて重要な役割を担っていると私は考えています。私たちは地球というたったひとつの環境をシェアすることで、生きています。過去の人びとが残し、シェアしてくれた世界に私たちは立ち、今度はそれを後世に生きる人びとや動植物、環境へとシェアしていく役目を担っています。

シェアはそのような意味で、私たちの生の土台、あるいは根源となるものです。ゆえに、崩れゆく砂上ではなく、シェアがなすこの土台のうえにサステナブルな社会が築かれようとしなければなりません。

サステナブルな旅にも同じことがいえるでしょう。協働作業としての旅について語った【中編】では、旅がけっして一人で可能な実践ではないこと、むしろそれは地域住民や他の旅人との協働作業にほかならないということについて考えました。旅とは誰かの生活空間にお邪魔させてもらうこと、いわば空間をシェアしてもらう行為にほかなりません。旅は「借りもの」であり、シェアを土台に成立しているのです。

それでは、旅人は「シェアされるだけ」なのでしょうか? そうではありません。旅人もまた、地域の人びとや他の旅人に対して何かをシェアする必要があると思われます。

とくに今回考えたいのは、旅人同士がシェアし合う関係をつくること、旅人同士の「シェアの土台」をつくることの大切さについてです。地域の人びとへのシェアについては、ぜひみなさん、「旅先で出会う地域の人々に自分は何をシェアすることができるのだろうか?」と、自分で考えてみてください。

ほかの旅人との断絶を地続きに

旅をしているとき、視界に入る他の旅人がいったい何を考えているのかを把握することは簡単ではありません。ゲストハウスや食事の場で居合わせた人びととコミュニケーションを取ることは可能ですが、とくに多くの観光客で混み合うような場所では、自分以外は有象無象の人の群れのように見えてしまうことがあると思います。

ではどうしたら、そうしたほかの旅人たちと「地続き」に繋がり、協働作業やシェアを試みることが可能となるのでしょうか。そもそも、すべての旅人が、旅先で他の旅人とコミュニケーションをとることを望んでいるわけではないので、やり方を工夫する必要があるでしょう。

自らを他者へとひらく

そこで提案したいのが、いわば「自らを他者へとひらく」実践です。言い換えれば、他者と関係が結ばれることに対してつねに準備しつづける態度です。これができれば、潜在的なかたちで、他の旅人と手をとり合うことが可能となると思われます。

肝心なことは、「自分が考えていること、旅をつうじて学んだことや経験したことを他者とシェアする」ことです。先述したように、サステナブルな旅は一人では実現できず、ゆえにみんなで実践していかなければなりません。ということは、自分の経験や、楽しかったこと、旅をつうじて考えたことを他の旅人にも知らせ、シェアし合える人こそがサステナブルな旅人、かっこいい旅人になれるのだと思います。

そのためにはまず、単純ですが、記録を残しましょう。自分の旅について、そして旅の中で気づいたことや学んだことをメモに残しましょう。サステナブルな事柄について自分が実践できたこと、できなかったこと(それはなぜなのか)、次にやってみたいことも。それは、写真でも、動画でも、絵でも詩でもよいと思います。

そうしたら、今度はSNSやブログ、動画サイトなどでそれらを発信してみましょう。そして、他の誰かの発信もチェックしてみましょう。これらを試みることは、自分の旅のらせんをまわす反省にもなりますし、他の旅人との繋がりの可能性にもなります。記録し反省し、表現し、その感動や学びを自分の中に留めずに他者へとひらくことを意識してみてください

サスタビがつくるプラットフォーム

サスタビでは、いまご覧いただいているHP「サスタビ:サステナブルな旅の情報サイト」以外にも、旅人たちが参加できるコミュニティを構築しています。

まずは、実際にサステナブルな旅をしたい人同士が集い、情報交換することができるFacebookグループ「サステナブルに旅をしようbyサスタビ」を訪れてみてください。

みなさん自身のアイディアや旅の経験について発信することや、サスタビが中心に企画するイベントや意見交換会に参加することも可能です。ぜひ、参加してみてください。サステナブルな旅についてよくわからなくても、他の旅人がどのような旅をしているのかを知ることができます。

サスタビではこのようなプラットフォームの準備に取り組んでいます。ほかにも‥‥‥

これらを運営し、旅人や事業者、サステナブルな旅に興味のある人が気軽に繋がり情報をシェアできる空間をつくっています。ぜひ、お気軽に参加してみてください。

おわりに:「旅シェア」×「シェア旅」

旅は、誰かから何かをシェアしてもらってはじめて可能となります。何かをみせてもらい、食べさせてもらい、経験させてもらい、居させてもらう。そうしてシェアしてもらった経験と恩を、地域に還すだけでなく、次なる旅人へと贈り出してあげることで、「旅のらせん」は前へと進みます。

旅シェアは、旅の前も、旅の後もあなたを他の旅人と繋ぎあわせます。その繋がりは、協働作業としてのサステナブルな旅を実現する重要なきっかけになるはずです。

そして「旅の最中」はぜひ、ライドシェアなどのサステナブルな取り組み=「シェア旅」に参加してみましょう。旅シェアとシェア旅。ふたつのシェアを実践し、シェアの輪を広げてゆくことが、サステナブルな旅の実現を近づけるのだと思います。

みなさんそれぞれが考えるサステナブルな旅のあり方を、サスタビのコミュニティでぜひ教えてください。そのようにして一緒に、サステナブルな旅を彩り豊かに実現していきましょう。

この記事を書いた人

石野 隆美

立教大学大学院観光学研究科、博士課程後期課程に在籍中。専門は文化人類学、観光研究。北海道札幌市出身。論文に「ツーリスト・アクセス――「アクセス」概念が拓くツーリスト像の検討に向けた理論的整理 」(『観光学評論』9(2)、2021年)など。また分担執筆に『よくわかる観光コミュニケーション論』(ミネルヴァ書房、2022年)、『アフターコロナの観光学――COVID-19以後の「新しい観光様式」 』(新曜社、2021年)など。

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