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【山形県】クラゲに特化して起死回生!“世界一”の鶴岡市立加茂水族館

【山形県】クラゲに特化して起死回生!“世界一”の鶴岡市立加茂水族館

山形県内唯一の水族館・加茂水族館

鶴岡市立加茂水族館

山形県にある唯一の水族館「鶴岡市立加茂水族館」、愛称は「クラゲドリーム館」。

その愛称からもわかるように、館内はクラゲに特化した展示が多くみられ、その種類数は世界一!2012年には世界最多の30種類の展示種数でギネス記録に認定されたこともあり、そこからさらに種数をのばし、現在では60種類以上のクラゲがいます。

館内には「鶴岡市クラゲ研究所」が設置され、国内外から多くの研究者が訪れるほか、一般客向けにもクラゲの生態を学ぶ講座や海ゴミを使ったワークショップを開くなど、教育プログラムも充実しています。子どもに人気のアシカ・アザラシの解説プログラムや、自由研究のための相談会もあり、たのしさ&面白さ満載の水族館なのです。

一方で、現在に至るまでには度重なる経営難に直面し、経営母体が変わり、営業休止になったことも。逆境の中でも地域の資源とアイディアを武器に「世界一」の水族館へと進化した加茂水族館の魅力をご紹介します!

世界一のクラゲ水族館になるまで

加茂水族館は1930年に民間の水族館としてスタートしてから、鶴岡市に買い取られ、市から第三セクター会社に売却。1度の倒産ののち東京の商社に引き継がれ、2002年再び鶴岡市に買い戻されました。はじめは好調だった入場者数も、近隣の新潟・秋田・青森に次々と大型の水族館が誕生すると、規模が小さい加茂水族館は低迷し続けました。

経営母体が目まぐるしく変わる中、1967年から2015年までの40年以上に渡り同館館長を務めたのが村上龍男さんで、まさにクラゲと共に東北の弱小水族館を世界一の水族館へとV字回復させた立役者なのです。

バブル崩壊後の1997年、過去最低の年間入館者数約9万人を記録し、どん底だった加茂水族館と村上元館長。しかし、この年の企画展示だったサンゴの水槽にたまたまクラゲが泳いでいるのが見つかり、試しにそれを展示したところ思いがけず評判を呼んだのだとか!

そこから種類を徐々に増やし、2001年には12種類で日本一に。そして現在の60種類以上へと繋がります。これまで水族館の脇役だった「クラゲ」に光を当てたことで、世界から注目を浴びる水族館へと発展したのです。

美しくて癒される、だけじゃないクラゲの魅力

小さな館内には幾種もの美しいクラゲが漂う「クラネタリウム」という展示室があり、中でも約10,000匹のミズクラゲが泳ぐ巨大な「クラゲドリームシアター」は、その幻想的な様子から映えスポットとしてSNSでも人気を呼んでいます。

水族館の役割はただ「見ていて楽しい」だけではないんです。動物園・水族館の役割には ①種の保存 ②環境教育 ③調査・研究 ④レクリエーション の4つがあります。絶滅の危機にある希少な生物を保護したり、そうした生物や自然環境について来場者に知ってもらい、私たちに何ができるのかを一緒に考えるための施設でもあるのです。

加茂水族館は飼育員の方の個性やクラゲ愛が伝わる「クラゲ解説コーナー」では、実はよく知らないクラゲについて楽しく学ぶことができます。

また時間・人数限定で行われる「クラゲのおはなし」や、ボランティアガイドによる「バックヤードツアー(不定期開催・別料金)」は大人の方にこそおすすめ!

クラゲの繁殖や研究を行っている同館だからこそ、その日生まれたばかりのクラゲの赤ちゃんを観察したり、普段は入ることのできない水族館の裏側を見たりすることができます。

凄腕館長と個性あるスタッフに支えられ

加茂水族館を「世界一のクラゲ水族館」へと導いた村上元館長は、ギネス申請を考え出した当初、実は「館長歴が世界一長い」ことを申請しようと考えていたのだそうです。村上元館長のブログによれば、当時アメリカ・ボストンの水族館の館長が37年間という記録で世界最長だったらしく、それより8年長いご自身の着任歴でギネスに申請したところ「マニアックすぎる」という理由で却下されてしまいました…。

しかし、そこからクラゲの展示種類数でのギネス記録に繋がるのですが、そんなユニークな村上元館長の人柄やこれまでのエピソードは同館HPにある「加茂水族館人情ばなし」というブログに綴られています。(この記事を読んで加茂水族館のファンになった方は、ぜひ覗いてみてください!とても面白いです)

また館内の展示パネルや解説プログラム、ガイドツアーでは、個性あふれる飼育員・ボランティアの皆さんの想いやアイディアに溢れていて、大人も子どもも思わず夢中になってしまいます。

そんなあたたかなスタッフの方が守ってきた同館は、オワンクラゲに関する研究でノーベル化学賞を受賞した下村脩博士や、あのさかなクンなど、海の生き物を愛する著名人の方々からも応援されて、今日まで長い歴史を紡いできたのです。

たのしく、面白く、地域と自然に寄り添う水族館

大きくて新しい設備がなくても、お金がなく、人気者の生き物がいなくても、「ここにしかないもの」を丁寧に見つめ、スタッフや地域の方、訪れてくれる方を巻き込んでともに歩んできた水族館には、他には代えられない魅力があります。

クラゲに限らず、庄内地域の海に暮らす魚や地域の伝統的な漁法などの解説もある加茂水族館。地元の方や子どもたちはもちろんですが、大人の方にこそわざわざ足を運んでもらいたいと思いました!

この記事を書いた人

鈴木 さやか

ライター・コミュニティ運営

東京大学大学院在学中。専門は環境教育/社会教育。渥美半島⇔横浜の2拠点生活でローカル(実践)とアカデミア(理論)を行き来しながら、無理なく持続可能な生き方の選択肢を探求中!

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