江戸時代は幕府の米蔵が立ち並んでいたことから、「蔵前」と今に残る地名を持つ東京台東区の蔵前地区。
前回の特集記事ではサスタビ的目線で街歩きにおすすめのスポットをご紹介しました。
今回は、ものづくりの街としての側面を学べる場所や、前回とは違うラインナップのスポットを巡ってきたレポートと、サスタビ的目線を交えた内容をお届けしていきます!
蔵前周辺の地勢や歴史を知る
蔵前へ足を運ぶ前に、その歴史や変遷に目を向けてみましょう。
サスタビ20カ条「03 事前に歴史・文化をしらべておこう」にもつながるアクションです。旅先の背景を知ることは、現代の街の姿からは想像もつかない意外性や新たな魅力を発見することにもつながり、初めて訪れるまでの期間の楽しみとなったり、その土地により愛着を持つことにもつながることでしょう。
原始時代の台東区は、かつての隅田川が土砂を運び、現在より内陸部にまで海が入り込む地形であったようです。
上野近辺には半島が、下谷や浅草一帯は海、待乳山(まつちやま)と鳥越付近には島が存在していたとされています。
江戸時代になると多数の自然河川のほか水路が張り巡らされますが、関東大震災や戦後の都市化にともないその姿は徐々に失われていきました。
出典:台東区の地勢
いざ、蔵前の街へ
街歩きを行った日は30度近い五月晴れの日。
まずはAM11:30にランチのお店に直接参加者が集合しました。
YUWAERU(結わえる)蔵前本店
蔵前駅から隅田川沿い寄りの住宅街の中にあるYUWAERU(結わえる)蔵前本店。お店の外には女性を中心とした多くのお客さんが列をなしていました。
YUWAERUでは、「寝かせ玄米®」を中心とした店頭メニューや商品販売を行っています。
この日は一膳飯屋(ランチ)をお目当てに訪問しました。
季節の旬のお野菜などをふんだんに使用したおかずや汁物から、お好みの組み合わせができる人気の定食です。
YUWAERU名物の「寝かせ玄米®」とは、圧力鍋で炊いた玄米を数日寝かせたもののことです。
もちもちとした食感とお米の甘みが特徴で、見た目よりも食べ終えた後の満足感がすごい……!
ビタミン・ミネラルなど食物繊維が豊富なことで知られる玄米ですが、日常的に取り入れることにハードルを感じている人は特に外食から取り入れてみることをおすすめします。
Kawamura Leather
続いて訪問したのは、革材料の専門店「Kawamura Leather(カワムラレザー)」。
イタリアから輸入された高品質な革を1枚単位から購入できるほか、併設されたワークスペースでは店頭で購入した革素材でレザークラフトを行うことが可能。
レザークラフトに興味のある初心者にも門戸が開かれている点はうれしいですね。
蔵前旅の思い出作りに、革から選んでレザークラフト体験も良いかもしれません!
店内にて、「KLーHUBPROJECT」という気になる取り組みを見つけました。
後日、公式サイトにて紹介ページを発見!
■レザークラフトに使用する工具、糸、機材
■レザークラフトに使用する金具類
などを直接店舗で回収・必要としている方へとつなぐ循環型プロジェクトで、サスタビでも紹介している日本初・ゼロウェイスト宣言をした徳島県・上勝町の取り組みに刺激を受けたことがきっかけだそうです。
旅先でサステナブルな取り組みを見つけた際には、ぜひ友人に伝えたりSNSで広めてみましょう!
サスタビのスポット登録では、お店やイベントを個人が登録できますので合わせて活用することで、あなたが見つけた素敵な商品やサービスが情報を必要としている人の元へ届くための手助けとなるでしょう。
サスタビ20カ条「20 サステナブルな活動を友達とシェアしよう」の実践にもつながります。
世界のカバン博物館
1940年創業の歴史を持つのエースは、「バッグの一大革命」と言われた新素材「東レナイロン」の生地を取り入れたバッグにより台頭したカバンメーカーです。
古今東西、世界五大陸のカバン約550点を収蔵する「世界のカバン博物館」は世界的にも珍しい博物館。
2010年のリニューアルオープンより現在の形で運営されており、元は1975年、エース東京駒形ビルにて「世界のカバン館」としてスタートしています。
カバンの歴史を、世界旅行をする気分で学べるミュージアム。
「カバンの歴史」、「カバンのひみつ」、「世界のカバンコレクション」、「わたしのカバン」、「企画展示エリア」から構成されています。
「カバンの歴史はこんなにも奥深いのか!」と感心させられる世界五大陸より集まった品物たち。
中世ヨーロッパの織物を使用した美しいカバンや人々の暮らしや文化を想像させるアフリカ大陸のカバンなど……
筆者は、日本で戦時統制により代替品として用いられたウナギ革のバッグが印象に残りました。
主に牛革の代替品として登場したようですが、現代のわたしたちには思いつかない発想ですよね。
実物が見たい!と思った方はぜひ現地に足を運んでみてください。
サスタビ20カ条「18 歴史館や博物館などに訪れよう」にもつながることから、ミュージアムを街歩きの訪問先にピックアップしました。
今回は地元企業の運営するスポットを訪れてみて、モノづくりの街蔵前を知る上で販売店を訪問する以外の選択肢をとることにより、また違った視点より街の魅力を発見したり知見を深められたことに意義があると感じました。
CAMERA
ランチを頂いてから数か所のスポットを周り、休憩を取るべく訪れたのは蔵前のカフェ「CAMERA」。
オリジナルレザーグッズのブランド『numeri』と、オリジナルベイクブランド『CAMERA BAKE』のお店です。
国内産の小麦粉、バター、きび砂糖にこだわったお菓子を提供しています!
当日は、アールグレイティークッキーを頂きました。
サスタビ20カ条にもある「6 マイボトルやカトラリー(箸、ナイフ、フォーク、ストローなどのセット)を持参しよう(プラスチックゴミの削減)」を実践……したかったのですがご覧の通りメニューによっては実践できない結果に。
オーバーツーリズムにおけるごみ箱の不足やポイ捨て問題などの観点からも、一度きりで廃棄されてしまうプラスチック製品は減らすべきだよね、と参加者の間で話題になりました。
近年、リユースカップなど繰り返し使えるアイテムを飲食店やキッチンカーに導入する動きも見られますが、まだまだ欧米中心なこともあり発展途上。システム構築から変革していくことがムーブメントにつながるカギかもしれません。
MESSAGE
続いて街を散策していると目に入ったカバンのお店が。
蔵前で1942年に創業したMESSAGE(旧小川一正商店)は、ヨーロッパスタイルのハンドバッグを販売し人気を博したそう。
現在の看板商品は「お出掛け先でもレストランにそのまま入れるリュック」をコンセプトにしたメイドインジャパンの「街歩きリュック」。ものづくりの街蔵前らしい伝統を今に受け継ぐお店です。
店内には、シンプルで日常に寄り添ってくれそうなアイテムが並びます。
製品を作る際、どうしても出てしまう端材はサスティナビリティを考える上で大きな課題となっています。
MESSAGEでは、端材を使用した商品も展開!
筆者もコンパクトなマルチケースを探していたタイミングだったこともあり、端材を使用した商品を購入しました。
「買い物は投票」と言われるように、わたしたち1人ひとりの行動が明日の社会をより良くする大きな1歩となります。
サスタビ20カ条「17 お土産は地元で作られたものを」にもつながるように、旅におけるサステナブルなお金の流れを個人単位でも考え行動していくことが大切。
堅苦しく考えるのではなく、実際にお店の方とコミュニケーションを楽しむと自然と思い出にも残る購入体験となりますよ!
蔵前は持続可能な街だった!
「古くて新しい」街である蔵前を半日かけて巡った今回の街歩き。
一本裏通りに入ってみると、点在するお寺が比較的新しそうなコンクリートの造りが見られたり、古い民家や商店がある中新しい大型マンションが建設されていたりと街の移り変わりの気配も感じることができました。
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