沖縄の新しい楽しみ方を発見!エシカルトラベルオキナワを体験してみた

言わずとも知れた美しい海、豊かな自然や離島など根強い人気を誇る沖縄。一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(以下OCVB)によると、沖縄へ訪れる旅行者の内約9割がリピーターだそうです。
いま、沖縄では“人に環境に配慮した新しい時代の旅のカタチ”である「エシカルトラベルオキナワ」を推進しています。今回は、沖縄本島のスポットを巡り沖縄の新しい旅の楽しみ方を探っていきます。

エシカルな旅とは

エシカルトラベルとはどんな旅でしょうか。エシカル(Ethical)を直訳すると、倫理的、道徳的となりますが、形容詞であるため、「エシカルファッション」、「エシカルフード」など、その使われ方や意味合いはとても広いものです。
筆者は、サステナビリティやSDGsなどで提唱されている考え方を、自身で行動として落とし込んでいくことをエシカルととらえています。これは日常生活や旅についても同様です。

エシカルトラベルオキナワについて

「人や環境に配慮した新しい時代や旅のカタチ」と名打ったエシカルトラベルオキナワ。沖縄県が令和4年に策定した第6次沖縄観光振興基本計画を受け、持続可能な観光開発を推進するため、立ち上がりました。公式サイト上で掲載されているコンテンツは、23項目を各事業者が自己申告し、それを元に選定されたたもの。

自然アクティビティや手仕事を体験できるスポットなど、沖縄で持続可能な観光への取り組みをしている事業者の情報が分かりやすく紹介されています。冒頭でも触れたように、沖縄はリピーターの旅行者が多いため、定番の観光地以外の沖縄をもっと深く知って味わい楽しんでほしいという思いで、その楽しみ方を提案し発信しているエシカルトラベルオキナワ。

エシカルトラベルとは旅人が主体でエシカルに旅をする」。そんな旅の在り方にこだわり旅人目線で発信しているのです。

出典:https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/752/6keikaku2.pdf

【買う】SHIMA DENIM WORKS

出典:SHIMA DENIM WORKS

那覇空港からもアクセスの良い浦添市港川の「港川ステイツサイドタウン」へ。元はアメリカ軍とその家族のための住宅地として整備された地区で、現在は当時の建物をリノベーションし、沖縄料理やカフェなどのテナントが入居しています。本土復帰後は次第に空き家が目立つようになり、2000年代に入り多様なショップが集まるスポットへ生まれ変わりました。歴史の変遷に想いを馳せながらアメリカンな趣を残す町並みを歩いてみるとより楽しめそうです。

散策するだけでもワクワクするこのエリアの一角に店舗を構えるSHIMA DENIM WORKSは、燃料として使い切れずに余ってしまっているさとうきびの搾りかす「バガス」をアップサイクルしているブランド。店内には、ブランドを代表するバガスから生まれたデニムやアパレル雑貨が並びます。

バガスを含んだ紙糸を使用したデニムは軽い、抗菌作用が高いなどの特徴を持つ

オリオンビールやHYなど、コラボ商品の開発にも意欲的に取り組んでいます。

特に目を惹いたのは、沖縄らしいかりゆしウェア。店舗販売以外にも、旅のシェアリングエコノミーにもつながるレンタルサービスも団体客などへ向け提案しています。今回の訪問で、さとうきび産業は後継者不足や高齢化などの背景から生産量が減少し、国の補助金によって支えられていることを知りました。店内には、商品販売以外にもバガスの搾りかすが製品となるプロセスの展示もあり、訪問した人にさとうきび産業の未来を見つめるきっかけを与える場所だと感じました。

【食べる】島豚七輪焼 満味

やんばる育ちでオーナーの満名匠吾さん

沖縄グルメと聞いて連想する人も多い「あぐー豚」。島豚七輪焼 満味は、美味しいあぐー豚を頂くのみならず沖縄の豚食文化や歴史を知ることができます。

「説明の前に、まずは味わってみて欲しいんです」。運ばれてきた御膳は、耳皮のポン酢、ミヌダル(豚肩ロース)、内臓:大腸・小腸・胃などを使用した中身汁など「足跡以外残らない」と言われる伝統的な豚の食し方が地元産の食材とともに体現されています。丸ごと命の恵みを頂くことの豊かさで満たされる食体験は、美味しさとサステナビリティが両立されていると言えるでしょう。

出典:OCVB

お店では「みんなであそぶウチナーウヮーすごろく」がプリントされた風呂敷も販売されています。豚と人々が共生していた時代の、循環が営まれていた様子が描かれていたすごろくになっている風呂敷で、方言の勉強にもなるそうですよ!

【体験する】プロジェクトマナティ


海で行うエコなアクティビティ……と聞けば真っ先に思い浮かぶビーチクリーン。今回は沖縄本島中部の海岸で、プロジェクトマナティのビーチクリーンに参加しました。

沖縄では多くのビーチクリーン団体などが活動していますが、“パートナー”と連携することによりプロジェクトマナティは地域の人との交流やアクティビティと合わせた楽しみ方を提案していることが特徴です。パートナーとは、ビーチクリーンに必要な道具のレンタルから回収したごみを回収に出すまでを請け負ってくれる事業者や団体のこと。多くのパートナーと提携することにより、沖縄全土でビーチクリーンの実施を可能にしているのです。
まずわたしたちはパートナーのひとつ、ポーランド出身のナティさんが営むパン屋さんに向かいビーチクリーンに必要な回収袋やトングを受け取りました。利用者は手ぶらで参加できる仕組みで、旅人も気軽に参加できます。

代表を務めるのは「サンゴに優しい日焼け止め」の開発者でもある金城由希乃さん

利用料金は1グループ500円。実際にビーチに出てごみ拾いを体験してみると、素材やサイズ感などさまざまな漂着ごみたちで回収袋はすぐ満杯に。持ち帰ることが難しい大型の漂着ごみも多数見受けられました。いわゆる「粗大ごみ」に分類されるごみを善意で拾う観光客もいるものの、家庭ごみとしては捨てることができず葛藤を感じているそうです。実際、体験してみると現地にはバッグに入りきらない大きなごみも……。すべてを拾いきれないことに悔しさを覚えました。

拠点のパン屋さんへマナティバッグごみを持ち帰り、ビーチクリーン体験は終了。マナティの利用の仕方を以下にまとめましたので、次の沖縄旅行のプランを立てるときに参考にしてみてくださいね!

1      マナティの利用スポット(パートナー)を公式サイトより探す

2      利用スポットに行き、回収袋などを借りる

3      ビーチクリーンをする

4      利用スポット(パートナー)に海ごみが入った状態の回収袋を返却

 

沖縄旅行の途中で、地域の人々と交流を楽しみながら、できる範囲で無理なく海に恩返しをする。そんな旅の在り方が広がるきっかけとなりそうな予感がしました。
また、マナティ以外にも沖縄クリーンコーストネットワーク(OCCN)の公式サイトでは、沖縄のビーチクリーン情報が随時更新されているので合わせてチェックしてみると良いでしょう。

【泊まる】EMウェルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾート


心身共に豊かさを実現する旅として、近年存在感が増すウェルネスツーリズム。沖縄県北中城村は女性の平均寿命が県内一であることを生かし、健康長寿を軸としたウェルネスツーリズムを体験できるスポットとしても話題を集めています。

その北中城村の見晴らしのよい丘の上にある「EMウェルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」。ケミカルフリーの清掃や、ナチュラルクリーニングで整えられたと言う室内は人にも環境にも優しい空間です。宿泊した際には、沖縄初の本格的リゾートホテルとして1970年代に建設されたものをリノベーションしたホテルの歴史を知るパネル展示からその趣を味わってみてください。

 

 

 

 

オープン前より宿泊者が並ぶと評判の朝食ビュッフェには、自社農園で育てた無農薬野菜や平飼い卵などこだわりの品々がずらり。アレルギー対応やヴィ―ガンを実践している人にもおすすめのメニューが並びます。

旅の1日を健やかにスタートできそうな野菜中心の小鉢たち。

筆者が特に美味しい!と感動したのはお味噌汁。早朝よりスタッフさんが出汁を取り仕込みをしているそうで、一気に飲み干してしまうほどでした。

地域の食が巡り、循環していく……都会では中々実感することのできない生命のエネルギーをチャージできたように思います。泊まるだけで身体にも心にも優しい。ウェルビーイングな旅がまるっと詰まった滞在でした。

【食べる】CLIFF GARO BREWING


泡盛やオリオンビール、ハブ酒……沖縄のお酒をお目当てに旅をする人も多いことでしょう。その新たな選択肢に加えたい、沖縄のクラフトビールが味わえるビアレストランのCLIFF GARO BREWING。店舗と併設したガラス張りの醸造所では、一度の仕込みで約1400本のビールの製造が可能と言う500リットルのタンクが日々稼働しています。

出典:OCVB

メニューには、レモングラスやドラゴンフルーツなど沖縄の食材を生かした、ここでしか味わえないクラフトビールがずらり。醸造長の宮城クリフさんが、直接パートナーシップを結んだ農家から調達した農作物を多く取り入れているそうです。「それぞれのビールは、どんな味がするのだろう」と気になった筆者は、皆で異なる種類のビールを注文し、飲み比べを楽しみました。

アーティストでもある宮城さん自らがデザインしたおしゃれなビール瓶のパッケージは画像越しからも沖縄の香りが漂ってきそう。ギフトにもぴったり!出典:OCVB

また、CLIFF GARO BREWINGでは店舗運営の他に親子向けの醸造所見学会や、やんばるにある廃校を活用した複合施設「喜如嘉翔(きじょか)学校」にて、学校敷地内のシークワーサーや月桃などの植物のみを使用したビール作りワークショップなどの開催を通じ、地域とつながる活動も行っています。

その土地のものを、その土地で美味しく頂くことはこれからの時代ますます価値を増すと実感した訪問となりました!

【体験する】【泊まる】喜如嘉翔学校(きじょかしょうがっこう)


本島中部からバスに揺られて北部へ移動。街中の景色が段々と濃い緑色の木々に覆われていきます。那覇から北に約90キロの大宜味村(おおぎみそん)は人口約3,200人、17の集落から構成されている、世界自然遺産に登録されたやんばるにある村です。この土地には、「大宜味御嶽のビロウ群落」や「喜如嘉の七滝」など、古くから伝わる神話や伝承が人々の心に生き続ける土地で、ネイチャーツアーや工芸体験などのアクティビティも人気です。

出典:OCVB

その大宜味村では、かつての小学校を活用した施設喜如嘉翔学校(きじょかしょうがっこう)が地域の文化を未来へつなぐ拠点として動き出しています。校門から校舎まで歩くと、生い茂る木々、東京では聞いたことのない虫の声……都市部の学校で育った身としては、こんな環境で育つことができた子どもたちはうらやましいなと感じました。

出典:OCVB

喜如嘉翔学校には、現在工芸品店や工房など個性豊かな14のテナントが入居しており、旅人は旅行者として昔の学校の面影が見ることができ地域の人や文化に触れながら「暮らすような旅」ができる場所だと言えます。特に、2025年夏に小学校の視聴覚室跡をリノベーションして誕生した「寓話」をテーマとした宿泊施設「BUNAGAYA」は、自然光がたっぷりと入る窓やロフト付きのお部屋が秘密基地のよう。

出典:OCVB

出典:OCVB

地元の人、移住者、旅人が交じり合う場所。数日以上の滞在や、大宜味村の街歩きなどと合わせてプランを立てると、より深く地域を知る旅ができるのではないでしょうか。

【体験する】工房うるはし

喜如嘉翔学校では、トレッキングや月桃アクセサリー作りなどのプログラムが開催されています。その中から、村で採れたシークワーサーの枝を使ったお箸作り体験にトライしました。講師を務めるのは、琉球箸の開発者・箸作り職人である「工房うるはし」の鈴木仁さん。学生時代、沖縄出身の友人をきっかけに沖縄に魅せられ移住したそう。箸作りのワークショップを始める前に、まず沖縄の小中学生の約8割が箸を正しく持てないという問題があること、その背景には戦後の文化的変化や親世代も子どもと同様の傾向が見られることを教えてくれました。

 

 

 

 

 

お箸の材料は、鈴木さん自ら採取したシークワーサーや桜の枝。ある程度加工した状態のものを磨いて仕上げていき、最後に名前などを刻印したらあっという間に完成!お箸作りを通して、鈴木さんから食育から正しいお箸の使い方も丁寧にレクチャーしてもらえることが一番の推しポイントです。定期的に食用油を塗る、やすりで磨くなど手入れをすれば10年は使うことができるそう。毎日の食事で自分で作ったお箸を使う度、エシカルな旅が日常へ続いていく──
そんな心豊かな思い出となったひと時でした。

【食べる】ペストリーうんてん


思わず顔がほころぶ、美味しいスイーツを頂くひとときは旅の楽しみのひとつでもあります。ペストリーうんてんは、食品ロスの観点より“「うれしい」がめぐるお菓子”を届けるスイーツショップです。

左より黒糖キャラメルチーズケーキ、キャロットケーキ、紅芋モンブラン

ケーキ屋さんと言えば、ショーケースに多種多様なケーキが並ぶ様子が一般的ですが、ペストリーうんてんでは商品数を絞る、注文を受けてから商品を仕上げるなど無駄を出さない仕組みが構築されているなど「人・環境・社会」への影響を考慮したエシカル消費につながるお店です。

さとうきびの搾りかす「バガス」を配合したクッキーをはじめ、その時々にロスとなる運命にある地元の農産物をレスキューした商品が販売されているので、訪れる度に新しい発見がありそうだと思いました。きび糖や豆乳クリーム、黒糖など、お菓子の原料にはカラダに優しいものがたっぷり使われているところもうれしいですね。

店舗では、生菓子以外にも焼き菓子類が充実!特に沖縄らしさ満点のクッキー缶はお土産にも喜ばれそうですね!那覇空港より車で約20分とアクセスも良好ですので、旅の終わりに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

エシカルな旅は人を育て社会を創る

旅は人を育て、社会を創ります。また旅人は旅先で、自分が暮らしている地域との違いに気づき、同時に共通しているところにも出会うのです。旅から帰り、いつもの暮らしに戻ったあとも、旅で得た経験や気づきは、知らないうちに自分の生活に影響を与えています。旅には、そんな力があるのだと思います。

旅の楽しみや醍醐味は千差万別です。今回訪問したスポット以外にも、エシカルトラベルオキナワの公式サイトやSNS上では、「旅は人を育て、社会を創る」という効用を、実際に体験できる事業者やモデルコースが多く紹介されています。沖縄をより深く知ると同時に、旅人自身にも小さな変化をもたらしてくれる場所や体験を見つけてみませんか。

取材協力:
一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー/近畿日本ツーリスト沖縄

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